自民党、葉梨康弘議員の事実歪曲がひどすぎる件。

 本当はアグネス・チャンさんの訴えを実現する最適な方法に付いて書く予定だったのですが、葉梨議員のあまりにひどすぎる弁解記事のおかげでこれを批判するのを先にやらざるを得なくなりました。なぜこんな嘘つき(=泥棒の始まり)が立法府にいるのでしょう? 泥棒に法を作らせているようなものです。しかも日本ユニセフが求めている規制を骨抜きにしようとしています。本当に自民党案でいいんですか? 日本ユニセフの方々。葉梨議員に任せていると、児童ポルノ撲滅など不可能ですよ。


 葉梨議員の弁明記事に付いて検証します。
 念のため記しておきますが、この記事は南季節風個人によるものであり、miauの意見とは関係ありません。

サンタフェ」廃棄発言に付いて

 6月26日の法務委員会で、私が、児童ポルノ禁止法改正案の与党案が成立すれば、宮沢りえさんの「サンタフェ」を1年以内に廃棄しろと答弁した旨の記事が載り、私自身目を疑った。
 私は、そんな直截的な答弁は行っていない。

「『サンタフェ』を廃棄しろ」?〜誤解を排し正確な児童ポルノ規制の議論を

 確かに、社民党保坂議員の以下の趣旨の質問

http://d.hatena.ne.jp/nanki-seppu/20090628/1246195152

 に対し、葉梨議員は答弁で、

http://d.hatena.ne.jp/nanki-seppu/20090628/1246195152

 と明言しております。「児童ポルノに当たるのであれば」という留保をつけており、この点のみを主張すれば、このような弁解が成立するでしょう。
 しかし、保坂議員はこの答弁と同時に、平成16年の改正時において3号規定が、芸術性の有無にかかわらず、児童(18歳未満)のヌードは児童ポルノであると解釈するいう保坂議員の指摘を、葉梨議員は否定していません。


この点について保坂議員は再度、葉梨議員に確認しています。

保坂「芸術的な作品は」
葉梨「芸術的かどうかは関係ない。」
「芸術的であっても一般人が持っていたら有罪。」

と、葉梨議員は芸術性の有無にかかわらず、18歳以下のヌードは児童ポルノであると明言されています。
そして、今回の与党案ではこの3号規定はそのままであるのですから、

7月1日付けの「東京新聞」と「日刊ゲンダイ」。
 6月26日の法務委員会で、私が、児童ポルノ禁止法改正案の与党案が成立すれば、宮沢りえさんの「サンタフェ」を1年以内に廃棄しろと答弁した

「『サンタフェ』を廃棄しろ」?〜誤解を排し正確な児童ポルノ規制の議論を

 という記事には一切間違いがありません。事実を歪めているのは葉梨議員のほうです。

 そして、この「性欲を興奮させ、刺激するもの」の解釈については、法施行後相当詳細な判例も示され、かなり具体的な限定となっており、決して「あいまい」なものではない。
 なお、衆議院法制局に問い合わせたところ、その判例に照らせば、「多分サンタフェ』は現行法の『児童ポルノ』に当たらないのでは」とのことだった。

「『サンタフェ』を廃棄しろ」?〜誤解を排し正確な児童ポルノ規制の議論を

 「多分」という表現は、その判断がはっきりとしない場合に用いる表現です。一体、これのどこどう解釈して、「決して『あいまい』なものではない」と強弁されるのでしょうか? 矛盾したことを段落の前後で平然と言ってのける無神経さには呆れるばかりです。矛盾した立法では、法による統治は望めません。葉梨議員は法治国家の根幹を破壊しようとしている自身の発言の危険性を自覚すべきです。

 私は、あくまで改正案の提出者であり、現行法の定義規定について、権威のある解釈や答弁を行う立場にはない。
 だから、「どのような書籍でも、現行法にいう『児童ポルノ』の定義に該当すれば、みだりに所持してはならないと考える」ということを一貫して答弁し続けてきた。
 そして、衆議院法制局の回答によれば、「サンタフェ」を廃棄しなければならないといった事態は、そもそも起こり得ず、まさに「空騒ぎ」もいいところだ。

 もう一度書きます。葉梨議員、あなたは「芸術性があっても、児童ポルノを一般人が持っていれば有罪。」と明言し、サンタフェ(撮影時17歳。児童ポルノに該当する。)の廃棄を主張された。
 そして、衆議院法制局の回答は絶対のものではなく、その回答も、「多分」というあいまいな留保つきなのです。
 これを「空騒ぎ」と誤魔化したい気持ちはよく分かりますが、ここは法案の文面の不備を潔く認めるほうがご自身の利益になると思いますよ。


 また、上記引用の太字部分、「権威のある解釈や答弁を行う立場にはない。」と謙遜しつつ、「『サンタフェ』を廃棄しなければならないといった事態は、そもそも起こり得ず、」と断言されるのはいかがなものかと思います。しかもその身勝手な解釈の責任を衆議院法制局になすりつけようというのは、実に無責任きわまる態度と言わざるを得ません。

ジャニーズ禁止発言に付いて

1「ジャニーズ上半身裸」禁止の可能性が高いのはむしろ民主党

「『サンタフェ』を廃棄しろ」?〜誤解を排し正確な児童ポルノ規制の議論を

 はい、葉梨議員、真っ赤な嘘を言わないでください。
 あなたの質問に対し、枝野議員は、はっきりと以下の趣旨の発言を行っています。

枝野「現在の規制では、ジャニーズのステージも同世代少女の性的好奇心を刺激するが、規制されることになる。」
葉梨「じゃあ、男の子の上半身裸は規制対象になる?」
枝野「だから民主党案では通常ありえない状況に対し、「殊更に強調」という文言を入れている。」
葉梨「上半身裸ならみんな規制対象なのね。」
枝野「「映像として」と言っている。ステージで上半身裸になるような行為そのものを指しているわけではない。」

児童ポルノ法改正の法務委員会の質疑概要(1) - 南季節風Log

 葉梨議員、ニホンゴワカリマスカ?(まあ、答弁でも「分からない」を連発していましたね。こういう人が立法府にいると議論が妨げられて大迷惑です。)
 日本語の能力がかわいそうな葉梨議員のために解説して差し上げましょう。枝野議員の言ったことは、
「与党案ではジャニーズのステージも規制対象になる。」
「ジャニーズのステージは民主党案では児童ポルノに当たらない。」
「しかし、ジャニーズメンバーの乳首などを殊更にアップして撮影し続けるなど、通常ありえない撮影がなされれば、それは児童ポルノとして認定されるでしょう。撮り方の問題です。」
ということです。(まあ、葉梨議員は正しい主張をする枝野議員の話を分からないのではなく、分かりたくないのですよね。自身の主張が間違っていることを自覚しておられるのですから。自覚していないのなら、あなたはバカであると思います。)


 葉梨議員、ご自身のサイトで嘘を並べ立てるのはやめましょう。さもなくば国会中継の映像がこちらで見られますので、ご自身の見苦しい姿をよくご覧になってください。

 これについて、民主党案提出者の枝野衆議院議員は、「ジャニーズの場合は、上半身裸であって(乳首が特に大きく表現されていて)も、それは『殊更露出したり強調したりしたもの』ではないため、民主党は『児童ポルノ』から除いたつもり。ジャニーズでなければ当たる。」旨の、私には良く分からない答弁を繰り返していた。

 枝野議員は、あなたが勝手に付け加えた(乳首が特に大きく表現されていて)る場合は、児童ポルノである、と明言されています。そういう事実に基づかないことで他者を非難することを、誹謗、中傷と言います。あなたは枝野議員及びあなたのサイトの閲覧者に間違った情報を与えたことを謝罪すべきです。恥を知りなさい。

更なる葉梨議員の情報・印象操作

 枝野氏の答弁は、何が当たるか、何が当たらないか、答弁を聴けば聴くほど極めてあいまいで、多分民主党案が成立すれば、警察権力が市民生活に介入するきっかけを与えてしまうかも知れないという印象だった。

 それはあなたが曲解しているだけであって、警察権力が市民生活に介入するきっかけを与えてしまうおそれは与党案にこそ大きいということが左記の法制委員会で明らかになりました。

なお、民主党案は、枝野氏の答弁では、私には、「たとえ性器等が露出してなくても、おしりや胸が描写されていれば、着衣でも児童ポルノになり得る場合もある」と解釈せざるを得ず

 事実は逆です。枝野氏は与党案では「たとえ性器等が露出してなくても、おしりや胸が描写されていれば、着衣でも児童ポルノになり得る場合もある」と指摘したのであって、民主党案ではなりえないことを答弁されました。

また、枝野氏の答弁によらず、参考人(法律家)の答弁によれば、民主党案では、性器等が露出・強調されていない児童の盗撮画像や緊縛画像は、児童ポルノから除かれることになる。

 はあ、一体葉梨議員の文章にどれだけのうそが入っているのか。こんなにも平然と人をだまそうと試みる人なんですね、葉梨康弘という人物は。どういう躾けられ方をしたのか、親の顔が見てみたいものです。それともこの人は人格障害者なのでしょうか。

  • 民主党案では、性器等が露出・強調されていない児童の盗撮画像を違法と明記してあり、参考人もその点を高く評価しています。
  • 民主党案では、「提供目的以外の児童性行為等姿態描写物の製造の罪について、意図的に児童に一定の姿態をとらせて製造した場合に限らず、盗撮等の場合にも処罰範囲を拡大すること。」と盗撮を処罰対象として明記しています。

むしろ、盗撮画像が児童ポルノに当たるかどうかの判断が必要な与党案のほうが盗撮を禁止する効力が弱い事は間違いありません。


緊縛画像などに付いては、枝野議員は民主党案の規制用件に付いて、以下のような答弁を行っています。

  • 性器の部分だけが写っているとか言うわけではく、全体の状況として、必然性無く、例えば裸でいるということは児童ポルノである。
  • 「強調」という言葉をいれた理由は、着エロも含むためである。例えば乳首にだけシールを貼っただけなどというのは、逆にそれにより強調していると解釈できる。
  • 現行法の抜け道として、幅2cmとかの水着を付けて、隠しているから法に抵触しませんよ言う状況がある。スカートや後ろ姿でも、いろんなスカートがある。撮影の角度などで強調しようとするものがありうるだろう。そういった可能性を考慮して悪質なものは「全体の映像として、殊更に強調している」としている。
児童ポルノ法改正の法務委員会の質疑概要(1) - 南季節風Log

 これだけの答弁をもってしても、葉梨議員の日本語の理解能力は全く機能していないようです。通常の日本語読解力を持つ人なら、これだけの判断材料が示されたなら、当然、緊縛画像も児童ポルノとして扱われると理解できるでしょう。
 民主党案のほうがあいまいで危険だなど、誤解に基づく決めつけも甚だしい。

葉梨議員の見苦しい言い訳はまだまだ続く

 与党改正案は、「自己の性的好奇心をそそる目的」で「児童ポルノ」を所持する行為に、罰則をもって対処している。
 野党質疑者は、これが自白のみで立証され、えん罪が生まれる危険性を指摘、私は、えん罪を生まないように、自白だけでなく、客観的な事実(画像を何回開いたか、何回も見た形跡のある本か、量はどうか、その人の日常の行動はどうか等)とともに、総合的に立証していけば、懸念は当たらないと答弁した。
 この答弁が、その一部のみを取り出し、私が、「数回画像を開いていればアウト」と言ったとか言わないとか、不安を煽る情報が広がっているらしい。これは、明らかにためにする動きだ。

 「警察が自白を強要するなんてありえない」と明言しておきながら・・・
 最大の問題は、参考人質疑で、自白以外の立証方法に付いて、民主党案に記載された方法と同じになるということが明らかになったことです。すなわち、自白のみに頼らないのであれば、結局民主党案の手法を用いる。ならば、与党案の幅広さは無意味であり、むしろ自白の強要を招く点で有害であることが明らかになりました。


 また、葉梨議員の例示した方法は、全く実効性にかけるものばかりです。

  • まず、現状のコンピューター技術で、どうやったら画像を開いた回数が分かるのか、葉梨議員は理解していません。
  • 何回も見た形跡というのが、一体具体的にどういうものであるのか、葉梨議員は説明を避けましたが、その説明は必ず行う責任が葉梨議員にはあります。
  • また、一例として、倉庫でほこりをかぶっていたら開いていない、ということを挙げたが、捜査員がほこりを払ってしまえば被疑者が身の潔白を証明することが不可能になる点に付いての説明は一切していません。
  • さらに、その人の日常の行動など、警察によるプライバシー侵害を積極的に推進すると明言しているのも人権侵害であり、法案そのものが憲法違反になりかねない大きな問題をはらんでいるといえるでしょう。

 私は、「自己の性的好奇心をそそる目的」等の立証は、極めて丁寧に行われるべきだと、一貫して考えている。
 ただ、えん罪の可能性があるから、自白を証拠として採用しないとか、そもそも法規制をゆるめるべきというのは、本末転倒だ。

 葉梨議員が「丁寧に行われるべきだ」と考えていても、「現行法の定義規定について、権威のある解釈や答弁を行う立場にはない。」と自ら語るあなたの考えなど、現場では無視されることでしょう。これこそ本末転倒です。

 かつて私は、大学で、「自白は証拠の王」と教えられた。
 しかし、その一方、本人の自白のみによっては、人を罪に問うこともできないのも事実だ。
 自白には、厳格な任意性・信用性が求められ、さらに、それ以外の証拠を収集する不断の努力が必要なことは言うまでもない。

 国会という責任ある、重要な場では「自白は証拠の王」とだけ述べて、このような無責任なWebサイトで言い訳をするのは実に無責任な行為であると思います。本当にそう思われるのでしたら、次の国会でしっかり答弁の不備を謝罪し、訂正してください。
 それから、「自白は証拠の王」などと大学が教えているのであれば、その大学の見識が問われるでしょう(東大法学部ですか、そんな嘘を教えるような大学の学部は廃止しましょう。有害無益です)。刑事訴訟法には次のように明記されているのです。

第三百十九条  強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
○2  被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html#1002000000003000000004000000000000000000000000000000000000000000000000000000000

 きちんと復習し、法案審議の場で訂正してください。


 また、足利事件は過去の話ではありません。

処分保留で男性釈放 景品買取所強盗 2009年7月3日

 那覇地検は2日、南風原町の遊技場に隣接する景品買取所に押し入って現金約600万円を奪ったなどとして、強盗致傷容疑で逮捕された南風原町兼城の元会社経営、赤嶺武さん(50)を処分保留で釈放した。那覇地検は処分保留の判断について「証拠が十分に収集されていない」と説明した。一方、釈放された赤嶺さんと弁護人は同日、県庁で会見し「自白が作り上げられた」と捜査機関を糾弾した。

 会見で弁護人の岡島実弁護士は「犯人と決めつけられて心理的圧迫を加えられ続けた。警察官の言うままに『そのとおりです』と答えた」と指摘し、虚偽自白が作られたと県警を批判した。

 県警は取り調べの一部録画、録音について「自白の任意性を検証するという警察庁の決めた条件に合わなかったためしていない」と説明した。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-146628-storytopic-1.html

 葉梨議員の能天気でオメデタイ頭では「自白の強要なんてあるわけない」のでしょうが、実際には今でもこの有様です。いい加減現実を直視しましょう。
 法案文面を見れば、民主党案が優れているのは一目瞭然なのですから。

 私に足らざるところがあれば、批判は甘んじて受けよう、ただ、東京新聞にしても、日刊ゲンダイにしても、ネット利用者の方にしても、批評をされる場合は、質疑の一部を切り取ったコメント付の動画やネット情報でなく、まず法律案をお読み頂き、衆議院TVで、6月26日の午前午後の質疑全てをご覧になって頂きたいと思う。

http://www.hanashiyasuhiro.com/modules/news/article.php?storyid=194

 私は法律案をよく読み、衆議院テレビですべての質疑を見ました。私は、あなたの議論に対する不誠実な態度に大きな不快感を覚えました。そして国会答弁の舌の根も乾かぬうちに全く事実と異なることをサイトで主張したことを十分に反省していただきたい。なにより、あなたこそまず法律案をお読み頂き、衆議院TVで、6月26日の午前午後の質疑全てをご覧になって頂きたいと思う。
 有権者の一人としては、あなたのようにまともに議論をする気の無い人間はあの場にいてはいけないと思います。