日本ユニセフ協会の要請を実現するのは自民・公明党案よりも民主党案ではないか?
主張と支持政党案が噛み合っていない。
以前衆議院のビデオライブラリhttp://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib3.php?deli_id=39900から各発言者の発言要旨をまとめましたが、その中からアグネス・チャン氏の主張についていくつか思ったことを書きます。
アグネス(日本ユニセフ協会)意見
- 現場の話を中心に話す。
- 1998年に日本ユニセフ協会大使になった日の夜、スウェーデン大使館に呼ばれ、「日本は児童ポルノのNo1の輸出大国である、No1の加害国である」と言われてショックだった。
- タイの児童買春の実態を見た。
- カンボジア、フィリピン、モルドバ共和国で児童買春の現場を回った。そこで児童ポルノを規制してくれといわれた。
- 児童買春禁止法などの整備がされ、一定の成果、コンビニから児童ポルノは消えたが、それでも足りないと言われる。
- サイバースペースでひろがり、むしろ悪化している。
- G8の中で単純所持を禁止していないのは日本とロシアだけ。
- 自分はいろんなところで単純所持を禁止していないことを非難されている。
- 児童ポルノ制作の現場、被害者の意見、加害者の話も聞いてほしい。
- 東南アジアで人身売買され、売春させられた子供の話。当時日本人には14歳と言えと言われていたらしい。実際には9歳の子供もいた。
- 4,5歳の子供も売買されている。
- そういう子供たちが売買春の中で写真をとられる。
- 日本人の話。入浴の写真を盗撮され、そのショックでリストカットするようになった少女の話。警察では埒が明かなかった。
- 母の再婚相手に性的虐待され、そのときの写真がインターネットに残っていた被害者の話。
- 児童ポルノの写真は被害者を傷つける凶器だ。
- 加害者の開き直りのコメントを紹介。許せない。
- 日本の法改正は外国から注目されてます。
- 単純所持を禁止するべきだ。
- 外国の政府関係者から褒めてもらえるようにお願いします。
根拠に嘘があってはならない。
まず、2番目のスウェーデン大使館の話、「日本は児童ポルノのNo1の輸出大国である、No1の加害国」というのは、事実に基づいていない誹謗であることは国会の質疑で明らかになりました。社民党の保坂議員が、
と発言しています。これは児童ポルノそのものではなく、インターネットサイトの話ではありますが、第1位のアメリカと日本では二桁も違うのに、輸出大国というのはおかしな話です。このデータが示された2004年は各国にインターネットが普及した時期です。アグネス氏がいちゃもん付けられた1998年はその6年前ですが、たった6年でアメリカは児童ポルノの生産量が100倍以上に増大し、日本を追いこしたのであれば、その間一体何があったのか気になりますし、それだけ各国の児童ポルノ生産量の変動が激しいのなら、1998年の話を持ち出すのは甚だ的外れといわざるを得ないでしょう。
児童買春と児童ポルノを故意に混同させるのは悪質な詭弁
アグネス氏は意見を述べる冒頭で「日本語がなまっている、うまくない」等とエクスキューズしていますが、これは日本語能力とは別問題です。
これは児童ポルノではなく、児童買春の問題であって、それは現行の児童ポルノ法で既に規制されているし、児童買春の現場で児童ポルノの生産がされるというのも、児童ポルノ製造の罪は現行法で違法とされているわけですから、これ以上法規制を何かやる、となったらそれは罰則強化ということになるはずです。
ところが、自民・公明党案は児童買春、児童ポルノ製造の罰則強化をしていません。にもかかわらず、アグネス氏はこのような児童買春の悲惨な現場の話を強く訴えているのに、児童買春に無関心な自民・公明党案が良いと主張しました。全く意味が分かりません。本当に児童を保護したいと考えているのでしょうか?
現行法において、児童買春目的での人身売買は懲役1〜10年です。民主党案はこの上限を15年に引き上げるとしています。
さらに児童買春の罪を適用する場合、民主党案は7年以下の懲役又は500万円以下の罰金と、現行の5年以下の懲役又は300万円以下の罰金という罰則が、より引き上げられます。
自民・公明党案は児童買春について無関心のままです。仮に自民・公明党案で新設される単純所持規制で摘発を行う場合、その罰則は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金でしかありません。どちらがより強い法規制といえるでしょうか。
自民・公明党案は盗撮の規制を行わない。
アグネス氏は日本の盗撮の話についても触れていました。
日本人の話。入浴の写真を盗撮され、そのショックでリストカットするようになった少女の話。警察では埒が明かなかった。
盗撮を明確に規制しているのは民主党案です。自民・公明党案では、3号規定の解釈を拡大する過程で盗撮も規制できるという立場をとっています。自民・公明党案のやり方は独裁政権国家と変わりません。
それに、取締の現場で不用意にその規定を拡大したところで、裁判ではこの拡大解釈をめぐって紛糾することでしょう。現在の司法制度では、盗撮被害者はその裁判過程でさらに過酷な思いをすることでしょう。
>「警察では埒が明かなかった」
この点は重要で、事は児童の保護だけではなく、成人女性のレイプ被害などにも関連します。日本では女性の性犯罪被害に対する警察の捜査が非常にお粗末なのです。日本では性犯罪被害にあった女性の体から証拠物を収集するためのレイプキットといわれる道具一式が、どの病院にも警察にも常備されていません。その上被害者の事情聴取に当たるのも男性警察官で、聴取した警察官の無神経な言葉によってさらに心の傷がえぐられるという現状があります。
しかしこれも捜査の改善を要請する理由にはなっても、単純所持規制を進める理由にはなりません。
日本ユニセフ協会関係者が褒めてもらいたいだけの法改正など要らない。児童保護の強化を。
このようなアグネス氏、正確には日本ユニセフ協会の主張と支持法案の乖離は、かいつまんで言うと
「外国人から我々は(実態に即していない根拠で)日本の児童買春、児童ポルノについて文句を言われる。外国人に褒めてもらうために、児童保護とかはどうでもいいから単純所持規制の形式だけを整えてください。」
という形式至上主義とも言うべき愚挙であると断ぜざるを得ません。
当初私は、日本ユニセフ協会と自民・公明党の間に癒着関係があるのではないかと思っておりましたが、現状の日本ユニセフの役員構成を見る限りではその形跡は見受けられません。(以前、森元総理の名前があったと思ったが・・・)ある程度天下り先としての機能もあるようではありますが。
それにしても、支持する法改正案が児童保護にきわめて不熱心な自民・公明党案ということでは、なくそう、子供ポルノキャンペーンに投ぜられた寄付金が無駄というものです。ちなみに、リンク先のページにある「フィリピンの子どもポルノ・買春・人身売買問題などの現状と対策をまとめた専門家報告書」などへのリンクが切れているのもお粗末です。
日本ユニセフ協会の皆さん、ほんとうに子供を守ろうという気があるんですか?
ペドフィリアとの戦い?
自民党の葉梨議員は、児童ポルノ単純所持規制に関する法務委員会の質疑で何度も「ペドフィリアとの戦い」と気勢を上げていました。質疑での発言から分かることは、葉梨議員は、ペドフィリア(=小児性愛者)の意味を分かっておらず、またその理解も乏しく、さらに性的マイノリティへの人権弾圧を欲望する、政治的に危険な人物であるということです。
ペドフィリアとは何か
葉梨議員は、質疑の中でこう言いました。「児童ポルノの本の横に成人女性のポルノ本があればそれはペドフィリアなのだから単純所持罪が適用できる。」
葉梨議員、そいつはペドフィリア(小児性愛者)の一部か、あるいは全く別の性的嗜好者です。
心の臨床家のための精神医学ハンドブックの210ページにはこう書かれています。
小児性愛(pedophilia)――思春期前の一人、または複数の小児(13歳以下)との性行為に関する空想、衝動、行動の反復。患者は少なくとも16歳で、対象になる子どもより少なくとも5歳は年長であること。
小児性愛とは幼い小児と性的関係をもちたいという嗜好です。欧米社会では小児性愛は、16歳以上の人が、13歳未満の小児を空想上の性的対象または実際の性的行為の対象とすることと定義されています。小児性愛では、特定の年齢層や発達段階の小児だけに性的関心をもつ人もよくみられますが、中には小児にも成人にも関心をもつ人もいます。
小児性愛は、心理療法と薬物療法によって性衝動を変える方法で治療が可能で、さまざまな成果が報告されています。本人が自発的に治療を受けに来る場合もありますが、犯罪を起こして逮捕され、法的処分を受けた後になって初めて治療を受けることもあります。投獄などの刑罰はたとえ長期間行われた場合でも、小児愛への願望や空想に変化をもたらすことはありません。
ジェンダーアイデンティティ - 10. 心の健康問題 - MSDマニュアル家庭版
小児性愛は精神医学上、性嗜好異常に分類され、社会的に不適合を起こす場合は治療の対象となるものです。本来彼らは、社会と折り合いをつけて生きていくための治療やカウンセリング等(ここでは便宜的に“適応行動”と呼ぶことにします。)を必要としているマイノリティであり、葉梨議員のようにその存在自体を悪とみなすような物言いをし、弾圧、投獄すべしと主張するのは、彼らの適応行動を妨げ、根本的な解決をより遠のかせることになるでしょう。
児童ポルノの単純所持を規制し、代償対象を妨げられた彼らが、どうせ投獄されるなら、あるいは既に投獄されたのだからと開き直り、実際の児童への性的暴行へ走らせる結果を招く可能性についても十分考慮に入れるべきだと思います。
「ペドフィリアとの戦い」とは一体何なのか。小児性愛者を弾圧・投獄しても根本的な解決にはならないことは明らかになっています。ならば、彼らの社会への適応行動を促すような社会システムの整備こそが大事であり、葉梨議員のように、ペドフィリアであることを理由とした弾圧と投獄を声高に叫ぶのはナチスと何ら変わらないことは強く指摘したいと思います。
小児性愛と、成人女性への性的好奇心の延長線上にある、14〜18歳の女性への性的欲望は分けて扱うべきです。この二つは対処法も刑罰による抑止効果もまるで違うものになります。
その点をあえて混同したまま議論を進めようとする現在の国会の議論(これは自民・公明のみならず、民主党にも言えること。)に、私は強い危惧を覚えます。
自民党、葉梨康弘議員の事実歪曲がひどすぎる件。
本当はアグネス・チャンさんの訴えを実現する最適な方法に付いて書く予定だったのですが、葉梨議員のあまりにひどすぎる弁解記事のおかげでこれを批判するのを先にやらざるを得なくなりました。なぜこんな嘘つき(=泥棒の始まり)が立法府にいるのでしょう? 泥棒に法を作らせているようなものです。しかも日本ユニセフが求めている規制を骨抜きにしようとしています。本当に自民党案でいいんですか? 日本ユニセフの方々。葉梨議員に任せていると、児童ポルノ撲滅など不可能ですよ。
葉梨議員の弁明記事に付いて検証します。
念のため記しておきますが、この記事は南季節風個人によるものであり、miauの意見とは関係ありません。
「サンタフェ」廃棄発言に付いて
6月26日の法務委員会で、私が、児童ポルノ禁止法改正案の与党案が成立すれば、宮沢りえさんの「サンタフェ」を1年以内に廃棄しろと答弁した旨の記事が載り、私自身目を疑った。
「『サンタフェ』を廃棄しろ」?〜誤解を排し正確な児童ポルノ規制の議論を
私は、そんな直截的な答弁は行っていない。
確かに、社民党保坂議員の以下の趣旨の質問
http://d.hatena.ne.jp/nanki-seppu/20090628/1246195152
に対し、葉梨議員は答弁で、
http://d.hatena.ne.jp/nanki-seppu/20090628/1246195152
と明言しております。「児童ポルノに当たるのであれば」という留保をつけており、この点のみを主張すれば、このような弁解が成立するでしょう。
しかし、保坂議員はこの答弁と同時に、平成16年の改正時において3号規定が、芸術性の有無にかかわらず、児童(18歳未満)のヌードは児童ポルノであると解釈するいう保坂議員の指摘を、葉梨議員は否定していません。
この点について保坂議員は再度、葉梨議員に確認しています。
保坂「芸術的な作品は」
葉梨「芸術的かどうかは関係ない。」
「芸術的であっても一般人が持っていたら有罪。」
と、葉梨議員は芸術性の有無にかかわらず、18歳以下のヌードは児童ポルノであると明言されています。
そして、今回の与党案ではこの3号規定はそのままであるのですから、
7月1日付けの「東京新聞」と「日刊ゲンダイ」。
「『サンタフェ』を廃棄しろ」?〜誤解を排し正確な児童ポルノ規制の議論を
6月26日の法務委員会で、私が、児童ポルノ禁止法改正案の与党案が成立すれば、宮沢りえさんの「サンタフェ」を1年以内に廃棄しろと答弁した
という記事には一切間違いがありません。事実を歪めているのは葉梨議員のほうです。
そして、この「性欲を興奮させ、刺激するもの」の解釈については、法施行後相当詳細な判例も示され、かなり具体的な限定となっており、決して「あいまい」なものではない。
「『サンタフェ』を廃棄しろ」?〜誤解を排し正確な児童ポルノ規制の議論を
なお、衆議院法制局に問い合わせたところ、その判例に照らせば、「多分『サンタフェ』は現行法の『児童ポルノ』に当たらないのでは」とのことだった。
「多分」という表現は、その判断がはっきりとしない場合に用いる表現です。一体、これのどこどう解釈して、「決して『あいまい』なものではない」と強弁されるのでしょうか? 矛盾したことを段落の前後で平然と言ってのける無神経さには呆れるばかりです。矛盾した立法では、法による統治は望めません。葉梨議員は法治国家の根幹を破壊しようとしている自身の発言の危険性を自覚すべきです。
私は、あくまで改正案の提出者であり、現行法の定義規定について、権威のある解釈や答弁を行う立場にはない。
だから、「どのような書籍でも、現行法にいう『児童ポルノ』の定義に該当すれば、みだりに所持してはならないと考える」ということを一貫して答弁し続けてきた。
そして、衆議院法制局の回答によれば、「サンタフェ」を廃棄しなければならないといった事態は、そもそも起こり得ず、まさに「空騒ぎ」もいいところだ。
もう一度書きます。葉梨議員、あなたは「芸術性があっても、児童ポルノを一般人が持っていれば有罪。」と明言し、サンタフェ(撮影時17歳。児童ポルノに該当する。)の廃棄を主張された。
そして、衆議院法制局の回答は絶対のものではなく、その回答も、「多分」というあいまいな留保つきなのです。
これを「空騒ぎ」と誤魔化したい気持ちはよく分かりますが、ここは法案の文面の不備を潔く認めるほうがご自身の利益になると思いますよ。
また、上記引用の太字部分、「権威のある解釈や答弁を行う立場にはない。」と謙遜しつつ、「『サンタフェ』を廃棄しなければならないといった事態は、そもそも起こり得ず、」と断言されるのはいかがなものかと思います。しかもその身勝手な解釈の責任を衆議院法制局になすりつけようというのは、実に無責任きわまる態度と言わざるを得ません。
ジャニーズ禁止発言に付いて
1「ジャニーズ上半身裸」禁止の可能性が高いのはむしろ民主党案
「『サンタフェ』を廃棄しろ」?〜誤解を排し正確な児童ポルノ規制の議論を
はい、葉梨議員、真っ赤な嘘を言わないでください。
あなたの質問に対し、枝野議員は、はっきりと以下の趣旨の発言を行っています。
枝野「現在の規制では、ジャニーズのステージも同世代少女の性的好奇心を刺激するが、規制されることになる。」
児童ポルノ法改正の法務委員会の質疑概要(1) - 南季節風Log
葉梨「じゃあ、男の子の上半身裸は規制対象になる?」
枝野「だから民主党案では通常ありえない状況に対し、「殊更に強調」という文言を入れている。」
葉梨「上半身裸ならみんな規制対象なのね。」
枝野「「映像として」と言っている。ステージで上半身裸になるような行為そのものを指しているわけではない。」
葉梨議員、ニホンゴワカリマスカ?(まあ、答弁でも「分からない」を連発していましたね。こういう人が立法府にいると議論が妨げられて大迷惑です。)
日本語の能力がかわいそうな葉梨議員のために解説して差し上げましょう。枝野議員の言ったことは、
「与党案ではジャニーズのステージも規制対象になる。」
「ジャニーズのステージは民主党案では児童ポルノに当たらない。」
「しかし、ジャニーズメンバーの乳首などを殊更にアップして撮影し続けるなど、通常ありえない撮影がなされれば、それは児童ポルノとして認定されるでしょう。撮り方の問題です。」
ということです。(まあ、葉梨議員は正しい主張をする枝野議員の話を分からないのではなく、分かりたくないのですよね。自身の主張が間違っていることを自覚しておられるのですから。自覚していないのなら、あなたはバカであると思います。)
葉梨議員、ご自身のサイトで嘘を並べ立てるのはやめましょう。さもなくば国会中継の映像がこちらで見られますので、ご自身の見苦しい姿をよくご覧になってください。
これについて、民主党案提出者の枝野衆議院議員は、「ジャニーズの場合は、上半身裸であって(乳首が特に大きく表現されていて)も、それは『殊更露出したり強調したりしたもの』ではないため、民主党は『児童ポルノ』から除いたつもり。ジャニーズでなければ当たる。」旨の、私には良く分からない答弁を繰り返していた。
枝野議員は、あなたが勝手に付け加えた(乳首が特に大きく表現されていて)る場合は、児童ポルノである、と明言されています。そういう事実に基づかないことで他者を非難することを、誹謗、中傷と言います。あなたは枝野議員及びあなたのサイトの閲覧者に間違った情報を与えたことを謝罪すべきです。恥を知りなさい。
更なる葉梨議員の情報・印象操作
枝野氏の答弁は、何が当たるか、何が当たらないか、答弁を聴けば聴くほど極めてあいまいで、多分民主党案が成立すれば、警察権力が市民生活に介入するきっかけを与えてしまうかも知れないという印象だった。
それはあなたが曲解しているだけであって、警察権力が市民生活に介入するきっかけを与えてしまうおそれは与党案にこそ大きいということが左記の法制委員会で明らかになりました。
なお、民主党案は、枝野氏の答弁では、私には、「たとえ性器等が露出してなくても、おしりや胸が描写されていれば、着衣でも児童ポルノになり得る場合もある」と解釈せざるを得ず
事実は逆です。枝野氏は与党案では「たとえ性器等が露出してなくても、おしりや胸が描写されていれば、着衣でも児童ポルノになり得る場合もある」と指摘したのであって、民主党案ではなりえないことを答弁されました。
また、枝野氏の答弁によらず、参考人(法律家)の答弁によれば、民主党案では、性器等が露出・強調されていない児童の盗撮画像や緊縛画像は、児童ポルノから除かれることになる。
はあ、一体葉梨議員の文章にどれだけのうそが入っているのか。こんなにも平然と人をだまそうと試みる人なんですね、葉梨康弘という人物は。どういう躾けられ方をしたのか、親の顔が見てみたいものです。それともこの人は人格障害者なのでしょうか。
- 民主党案では、性器等が露出・強調されていない児童の盗撮画像を違法と明記してあり、参考人もその点を高く評価しています。
- 民主党案では、「提供目的以外の児童性行為等姿態描写物の製造の罪について、意図的に児童に一定の姿態をとらせて製造した場合に限らず、盗撮等の場合にも処罰範囲を拡大すること。」と盗撮を処罰対象として明記しています。
むしろ、盗撮画像が児童ポルノに当たるかどうかの判断が必要な与党案のほうが盗撮を禁止する効力が弱い事は間違いありません。
緊縛画像などに付いては、枝野議員は民主党案の規制用件に付いて、以下のような答弁を行っています。
児童ポルノ法改正の法務委員会の質疑概要(1) - 南季節風Log
- 性器の部分だけが写っているとか言うわけではく、全体の状況として、必然性無く、例えば裸でいるということは児童ポルノである。
- 「強調」という言葉をいれた理由は、着エロも含むためである。例えば乳首にだけシールを貼っただけなどというのは、逆にそれにより強調していると解釈できる。
- 現行法の抜け道として、幅2cmとかの水着を付けて、隠しているから法に抵触しませんよ言う状況がある。スカートや後ろ姿でも、いろんなスカートがある。撮影の角度などで強調しようとするものがありうるだろう。そういった可能性を考慮して悪質なものは「全体の映像として、殊更に強調している」としている。
これだけの答弁をもってしても、葉梨議員の日本語の理解能力は全く機能していないようです。通常の日本語読解力を持つ人なら、これだけの判断材料が示されたなら、当然、緊縛画像も児童ポルノとして扱われると理解できるでしょう。
民主党案のほうがあいまいで危険だなど、誤解に基づく決めつけも甚だしい。
葉梨議員の見苦しい言い訳はまだまだ続く
与党改正案は、「自己の性的好奇心をそそる目的」で「児童ポルノ」を所持する行為に、罰則をもって対処している。
野党質疑者は、これが自白のみで立証され、えん罪が生まれる危険性を指摘、私は、えん罪を生まないように、自白だけでなく、客観的な事実(画像を何回開いたか、何回も見た形跡のある本か、量はどうか、その人の日常の行動はどうか等)とともに、総合的に立証していけば、懸念は当たらないと答弁した。
この答弁が、その一部のみを取り出し、私が、「数回画像を開いていればアウト」と言ったとか言わないとか、不安を煽る情報が広がっているらしい。これは、明らかにためにする動きだ。
「警察が自白を強要するなんてありえない」と明言しておきながら・・・
最大の問題は、参考人質疑で、自白以外の立証方法に付いて、民主党案に記載された方法と同じになるということが明らかになったことです。すなわち、自白のみに頼らないのであれば、結局民主党案の手法を用いる。ならば、与党案の幅広さは無意味であり、むしろ自白の強要を招く点で有害であることが明らかになりました。
また、葉梨議員の例示した方法は、全く実効性にかけるものばかりです。
- まず、現状のコンピューター技術で、どうやったら画像を開いた回数が分かるのか、葉梨議員は理解していません。
- 何回も見た形跡というのが、一体具体的にどういうものであるのか、葉梨議員は説明を避けましたが、その説明は必ず行う責任が葉梨議員にはあります。
- また、一例として、倉庫でほこりをかぶっていたら開いていない、ということを挙げたが、捜査員がほこりを払ってしまえば被疑者が身の潔白を証明することが不可能になる点に付いての説明は一切していません。
- さらに、その人の日常の行動など、警察によるプライバシー侵害を積極的に推進すると明言しているのも人権侵害であり、法案そのものが憲法違反になりかねない大きな問題をはらんでいるといえるでしょう。
私は、「自己の性的好奇心をそそる目的」等の立証は、極めて丁寧に行われるべきだと、一貫して考えている。
ただ、えん罪の可能性があるから、自白を証拠として採用しないとか、そもそも法規制をゆるめるべきというのは、本末転倒だ。
葉梨議員が「丁寧に行われるべきだ」と考えていても、「現行法の定義規定について、権威のある解釈や答弁を行う立場にはない。」と自ら語るあなたの考えなど、現場では無視されることでしょう。これこそ本末転倒です。
かつて私は、大学で、「自白は証拠の王」と教えられた。
しかし、その一方、本人の自白のみによっては、人を罪に問うこともできないのも事実だ。
自白には、厳格な任意性・信用性が求められ、さらに、それ以外の証拠を収集する不断の努力が必要なことは言うまでもない。
国会という責任ある、重要な場では「自白は証拠の王」とだけ述べて、このような無責任なWebサイトで言い訳をするのは実に無責任な行為であると思います。本当にそう思われるのでしたら、次の国会でしっかり答弁の不備を謝罪し、訂正してください。
それから、「自白は証拠の王」などと大学が教えているのであれば、その大学の見識が問われるでしょう(東大法学部ですか、そんな嘘を教えるような大学の学部は廃止しましょう。有害無益です)。刑事訴訟法には次のように明記されているのです。
第三百十九条 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO131.html#1002000000003000000004000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
○2 被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
きちんと復習し、法案審議の場で訂正してください。
また、足利事件は過去の話ではありません。
処分保留で男性釈放 景品買取所強盗 2009年7月3日
那覇地検は2日、南風原町の遊技場に隣接する景品買取所に押し入って現金約600万円を奪ったなどとして、強盗致傷容疑で逮捕された南風原町兼城の元会社経営、赤嶺武さん(50)を処分保留で釈放した。那覇地検は処分保留の判断について「証拠が十分に収集されていない」と説明した。一方、釈放された赤嶺さんと弁護人は同日、県庁で会見し「自白が作り上げられた」と捜査機関を糾弾した。
会見で弁護人の岡島実弁護士は「犯人と決めつけられて心理的圧迫を加えられ続けた。警察官の言うままに『そのとおりです』と答えた」と指摘し、虚偽自白が作られたと県警を批判した。
県警は取り調べの一部録画、録音について「自白の任意性を検証するという警察庁の決めた条件に合わなかったためしていない」と説明した。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-146628-storytopic-1.html
葉梨議員の能天気でオメデタイ頭では「自白の強要なんてあるわけない」のでしょうが、実際には今でもこの有様です。いい加減現実を直視しましょう。
法案文面を見れば、民主党案が優れているのは一目瞭然なのですから。
私に足らざるところがあれば、批判は甘んじて受けよう、ただ、東京新聞にしても、日刊ゲンダイにしても、ネット利用者の方にしても、批評をされる場合は、質疑の一部を切り取ったコメント付の動画やネット情報でなく、まず法律案をお読み頂き、衆議院TVで、6月26日の午前午後の質疑全てをご覧になって頂きたいと思う。
http://www.hanashiyasuhiro.com/modules/news/article.php?storyid=194
私は法律案をよく読み、衆議院テレビですべての質疑を見ました。私は、あなたの議論に対する不誠実な態度に大きな不快感を覚えました。そして国会答弁の舌の根も乾かぬうちに全く事実と異なることをサイトで主張したことを十分に反省していただきたい。なにより、あなたこそまず法律案をお読み頂き、衆議院TVで、6月26日の午前午後の質疑全てをご覧になって頂きたいと思う。
有権者の一人としては、あなたのようにまともに議論をする気の無い人間はあの場にいてはいけないと思います。
与党案と民主党案 要綱比較
要綱比較一覧表
法案文面より
項目 | 与党案 | 民主党案 | |||
単純所持罪 | あり | 取得罪として定義 | |||
単純所持罰則 | 1年以下懲役又は100万円以下罰金 | 3年以下懲役又は300万円以下罰金 | |||
漫画など表現規制 | 調査研究し、3年後に法改正し制限 | なし | |||
閲覧規制 | 検閲・ブロッキング技術の開発を行う | なし | |||
児童ポルノ定義 | 広範囲 | 定義を国際水準に合わせる | |||
罰則強化 | なし | 罰則の強化 | |||
盗撮対策 | なし | あり | |||
被害児童の保護規定強化 | なし | あり | |||
被害児童の保護主体の権限 | なし | 保護主体の明確化、権限強化 | |||
冤罪防止規定 | なし | あり |
6月26日法務委員会によって明らかになった事柄
項目 | 与党案 | 民主党案 | 参考人意見 | ||||
児童ポルノの定義 | 現行法3号定義による。 | 一般的にイメージされる児童ポルノのイメージにより近づける | 民主党案が明確 | ||||
単純所持罪の定義 | 自白は証拠の王様であり、客観的証明手段は不要。 | 客観的証明手段を明示 | ― | ||||
盗撮対策 | 3号規定に依存 | 盗撮禁止を明示 | 盗撮被害も重大/民主党案で明示されていることを評価 | ||||
着エロ | 3号規定に依存 | 規制対象とする | 18歳未満のグラビアは不要 | ||||
芸術作品 | 規制、過去のものも廃棄 | 規制対象から外す | ― | ||||
被害児童保護 | なし | 明記 | 民主党案でも不足。警察、司法も入れるべき |
※3号規定:「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」
参考:現行法
第一条 この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性にかんがみ、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「児童」とは、十八歳に満たない者をいう。
2 この法律において「児童買春」とは、次の各号に掲げる者に対し、対償を供与し、又はその供与の約束をして、当該児童に対し、性交等(性交若しくは性交類似行為をし、又は自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等(性器、肛門又は乳首をいう。以下同じ。)を触り、若しくは児童に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)をすることをいう。
一 児童
二 児童に対する性交等の周旋をした者
三 児童の保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ。)又は児童をその支配下に置いている者
3 この法律において「児童ポルノ」とは、写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものをいう。
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの(適用上の注意)
第三条 この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意しなければならない。(児童買春)
第四条 児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。(児童買春周旋)
第五条 児童買春の周旋をした者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 児童買春の周旋をすることを業とした者は、七年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。(児童買春勧誘)
第六条 児童買春の周旋をする目的で、人に児童買春をするように勧誘した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
2 前項の目的で、人に児童買春をするように勧誘することを業とした者は、七年以下の懲役及び千万円以下の罰金に処する。(児童ポルノ提供等)
第七条 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
2 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
6 第四項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。(児童買春等目的人身売買等)
第八条 児童を児童買春における性交等の相手方とさせ又は第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を描写して児童ポルノを製造する目的で、当該児童を売買した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
2 前項の目的で、外国に居住する児童で略取され、誘拐され、又は売買されたものをその居住国外に移送した日本国民は、二年以上の有期懲役に処する。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。(児童の年齢の知情)
第九条 児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、第五条から前条までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失がないときは、この限りでない。(国民の国外犯)
第十条 第四条から第六条まで、第七条第一項から第五項まで並びに第八条第一項及び第三項(同条第一項に係る部分に限る。)の罪は、刑法 (明治四十年法律第四十五号)第三条 の例に従う。(両罰規定)
第十一条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第五条から第七条までの罪を犯したときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。(捜査及び公判における配慮等)
第十二条 第四条から第八条までの罪に係る事件の捜査及び公判に職務上関係のある者(次項において「職務関係者」という。)は、その職務を行うに当たり、児童の人権及び特性に配慮するとともに、その名誉及び尊厳を害しないよう注意しなければならない。
2 国及び地方公共団体は、職務関係者に対し、児童の人権、特性等に関する理解を深めるための訓練及び啓発を行うよう努めるものとする。(記事等の掲載等の禁止)
第十三条 第四条から第八条までの罪に係る事件に係る児童については、その氏名、年齢、職業、就学する学校の名称、住居、容貌等により当該児童が当該事件に係る者であることを推知することができるような記事若しくは写真又は放送番組を、新聞紙その他の出版物に掲載し、又は放送してはならない。(教育、啓発及び調査研究)
第十四条 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為が児童の心身の成長に重大な影響を与えるものであることにかんがみ、これらの行為を未然に防止することができるよう、児童の権利に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、児童買春、児童ポルノの提供等の行為の防止に資する調査研究の推進に努めるものとする。(心身に有害な影響を受けた児童の保護)
第十五条 関係行政機関は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童に対し、相互に連携を図りつつ、その心身の状況、その置かれている環境等に応じ、当該児童がその受けた影響から身体的及び心理的に回復し、個人の尊厳を保って成長することができるよう、相談、指導、一時保護、施設への入所その他の必要な保護のための措置を適切に講ずるものとする。
2 関係行政機関は、前項の措置を講ずる場合において、同項の児童の保護のため必要があると認めるときは、その保護者に対し、相談、指導その他の措置を講ずるものとする。(心身に有害な影響を受けた児童の保護のための体制の整備)
第十六条 国及び地方公共団体は、児童買春の相手方となったこと、児童ポルノに描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童について専門的知識に基づく保護を適切に行うことができるよう、これらの児童の保護に関する調査研究の推進、これらの児童の保護を行う者の資質の向上、これらの児童が緊急に保護を必要とする場合における関係機関の連携協力体制の強化、これらの児童の保護を行う民間の団体との連携協力体制の整備等必要な体制の整備に努めるものとする。(国際協力の推進)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO052.html
第十七条 国は、第四条から第八条までの罪に係る行為の防止及び事件の適正かつ迅速な捜査のため、国際的な緊密な連携の確保、国際的な調査研究の推進その他の国際協力の推進に努めるものとする。
与党案要綱
第一 適用上の注意規定の明確化
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/youkou/g16901032.htm
この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならないものとすること。(第三条関係)
第二 児童ポルノ所持等の禁止等
一 児童ポルノ所持等の禁止
何人も、みだりに、児童ポルノを所持し、又はこれに係る電磁的記録を保管してはならないものとすること。(第六条の二関係)
二 自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ所持等についての罰則
1 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。同様の目的で、これに係る電磁的記録を保管した者も、同様とすること。(新第七条第一項関係)
2 1に係る国民の国外犯は、これを処罰するものとすること。(第十条関係)
第三 インターネットの利用に係る事業者の努力
インターネットを利用した不特定の者に対する情報の発信又はその閲覧等のために必要な電気通信役務を提供する事業者は、児童ポルノの所持、提供等の行為による被害がインターネットを通じて容易に拡大し、これによりいったん国内外に児童ポルノが拡散した場合においてはその廃棄、削除等による児童の権利回復は著しく困難になることにかんがみ、捜査機関への協力、その管理権限に基づき児童ポルノに係る情報の送信を防止する措置その他インターネットを利用したこれらの行為の防止に資するための措置を講ずるよう努めるものとすること。(第十四条の二関係)
第四 その他
一 施行期日等
1 この法律は、平成二十年十一月二十日(国際連合において「世界の子どもの日」と定められている日)から施行するものとすること。(附則第一条第一項関係)
2 第二の二の1(自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ所持等についての罰則)は、この法律の施行の日から一年間は、適用しないものとすること。(附則第一条第二項関係)
二 検討
1 政府は、児童ポルノに類する漫画等(漫画、アニメ、CG、擬似児童ポルノ等をいう。)と児童の権利を侵害する行為との関連性に関する調査研究を推進するとともに、インターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限に関する技術の開発の促進について十分な配慮をするものとすること。(附則第二条第一項関係)
2 児童ポルノに類する漫画等の規制及びインターネットによる児童ポルノに係る情報の閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、1の調査研究及び技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること。(附則第二条第二項関係)
三 その他
その他所要の規定の整備を行うこと。
民主党案要綱
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律案要綱
http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/youkou/g17101012.htm
第一 「児童ポルノ」の名称の改正及び定義の明確化
一 「児童ポルノ」の名称の改正(題名、第二条第三項等関係)
本法が風俗犯に関する法律ではなく、あくまでも児童に対する性的搾取及び性的虐待に係る行為等の処罰に関する法律であることを明確にするため、その対象である「児童ポルノ」の名称を「児童性行為等姿態描写物」に改めること。
二 児童性行為等姿態描写物(児童ポルノ)の定義の明確化(第二条第三項第二号及び第三号関係)
児童性行為等姿態描写物の定義を明確にするため、第二号を「殊更に他人が児童の性器等を触り、若しくは殊更に児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態又は殊更に児童の性器等が露出され、若しくは強調されている児童の姿態」との客観的な要件に改めるとともに、第三号を削除すること。
第二 児童性行為等姿態描写物(児童ポルノ)等取得罪の新設等
一 児童性行為等姿態描写物(児童ポルノ)等取得罪の新設(新第七条第一項及び第十条関係)
1 みだりに、児童性行為等姿態描写物を有償で又は反復して取得した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処するものとすること。みだりに、これに係る電磁的記録等を有償で又は反復して取得した者も、同様とすること。
2 1に係る国民の国外犯は、これを処罰するものとすること。
二 児童性行為等姿態描写物(児童ポルノ)製造罪の処罰範囲の拡大(新第七条第四項関係)
提供目的以外の児童性行為等姿態描写物の製造の罪について、意図的に児童に一定の姿態をとらせて製造した場合に限らず、盗撮等の場合にも処罰範囲を拡大すること。
三 適用上の注意規定の明確化(第三条関係)
一及び二の改正にかんがみ、この法律の適用に当たっては、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない旨を明確にすること。
第三 罰則の法定刑の引上げ
一 児童買春関係(第四条から第六条まで関係)
児童買春罪の法定刑を七年以下の懲役又は五百万円以下の罰金(現行は五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金)とする等、法定刑を引き上げること。
二 児童性行為等姿態描写物(児童ポルノ)関係(新第七条第二項から第七項まで関係)
児童性行為等姿態描写物等提供罪等の法定刑を五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金(現行は三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金)に、児童性行為等姿態描写物等の不特定又は多数の者に対する提供等の罪等の法定刑を七年以下の懲役若しくは七百万円以下の罰金又はその併科(現行は五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金又はその併科)に引き上げること。
三 児童買春等目的人身売買等(第八条関係)
児童買春等目的人身売買罪の法定刑を一年以上十五年以下の懲役(現行は一年以上十年以下の懲役)にする等、法定刑を引き上げること。
第四 心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する制度の充実及び強化
一 心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体及び責任の明確化(第十五条関係)
心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置を講ずる主体として、厚生労働省、都道府県、児童相談所、福祉事務所及び市町村を例示し、措置を講ずる主体及び責任を明確化すること。
二 心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の検証等(第十六条の二関係)
1 社会保障審議会は、児童買春の相手方となったこと、児童性行為等姿態描写物に描写されたこと等により心身に有害な影響を受けた児童の保護に関する施策の実施状況等について、当該児童の保護に関する専門的な知識経験を有する者の知見を活用しつつ、定期的に検証及び評価を行うものとすること。
2 社会保障審議会の厚生労働大臣等に対する意見の具申及び厚生労働大臣等が講ずる措置に関する規定を置くこと。
第五 施行期日等
一 施行期日(附則第一条関係)
この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行すること。
二 その他
その他所要の規定の整備を行うこと。
児童ポルノ法改正の法務委員会の質疑概要(2)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib3.php?deli_id=39900
案件(議題順):
児童買春、児童ポルノ行為等処罰及び児童保護等法改正法案(169国会衆32)
児童買春、児童ポルノ行為等処罰及び児童保護等法改正法案(171国会衆12)
休憩〜散会まで
より。
発言内容を要約しているので細かいことは自分で配信された映像を見るか、国会議事録(ってどこから入手するんだろう?)を見てください。
なお、敬称は略しています。
質問者 園田(民主党)
園田
- 民主案、定義規定が重要。
- 名称の変更(児童性行為等姿態描写)について、児童への性的搾取、ということが重要であるという認識でよいか。
枝野
- 日本国内でポルノという言葉で受ける印象は、風俗犯、風紀犯的イメージを伴う。
- えげつない児童虐待のものが増えてきた。
- Santa Feは芸術性が高いものまで含んでいるだろう。
- 「何を取り締まっているのか」を素直に表示したほうが良い。
園田
枝野
- 非常にあいまいかつ広範である。文言上はジャニーズのステージもかかってしまう。
- 極端な水着の写真が増えているが、それが3号の範囲に入るか不明であり、捜査が困難である。
- 取り締まる範囲が明確になる。
園田
- 民主党案のほうが与党案より具体的であると思うがどうか。
葉梨
- 民主党案のほうがあいまいである。
園田
- 現行法で、単純所持について、罰則規定が設けられていない。
- 現段階で捜査の可視化がされないまま、単純所持そのものを規制するのは問題があるのではないか。
高田(公明党)
- 自己の性的好奇心を満たすという文言は、児童買春の条項で使われており、明確である。
- 明確であるから、自白の強要はないと考えている。
- 取得の要件を入れるのは不要であると考えている。
園田
- 捜査の簡素化を目的とするような規制は本末転倒。
- 与党案で1クリック で大量に所持、それだけで犯罪と認定するか。
高田
- 犯罪である。
園田
- 誤ってクリックしたものでも犯罪となることの危険性を与党は認識すべき。
- 収集行為をはずした理由
枝野
- 民主案は、有償で一回クリックでも有罪である。
- 収集の意図を持っていれば、有償である、あるいは反復するということで客観的に判断できる。
園田
- 民主党案では、盗撮など、範囲を拡大している点に付いて。
枝野
- どのような目的を問わず、児童への人権侵害があれば課罰性のある行為であると考える。
質問者 保坂(社民党)
保坂
葉梨
保坂
- 見ていないのに廃棄しろというのが本当にいいのか。
- 児童ポルノの統一した認定基準はあるか。
警察庁事務官
- 個別具体的な事案に即して、これまでの裁判例に即して判断する。
保坂
- ケースバイケースということで、何も答えていないに等しい。
葉梨
- 児童が18歳未満かどうかが問題。
- 顔から見て分からなくても、制服であれば、あるいは童顔かで分かる。
保坂
- 写真家が過去に写した少女の写真などはどうなるのか。廃棄すべきということか。
葉梨
- 廃棄してもらうか、国立国会図書館に収めてもらう。
- 児童ポルノであったら、どんなに有名な写真家、出版社でも駄目だ。
- 篠山紀信が自己の性的好奇心を満たす目的があるのであれば処罰に値する。
- 取り締まるかどうかはその自己の性的好奇心の有無が問題である。
保坂
- 与党案の何人も、みだりに、という禁止規定の除外の例は。
- 正当な理由無く、という規定はどういうものか。
葉梨
- 捜査機関が押収したもの。
- 国会図書館に保存されているもの。
- 法案審議のために研究をするために持っているもの。
- 他にもいろいろあるだろう。
保坂
- 芸術的な作品は
葉梨
- 芸術的かどうかは関係ない。
- 芸術的であっても一般人が持っていたら有罪。
保坂
- 芸術的であり、児童ポルノに当たるものもあるだろう。
- 疑わしいものは持つなという答弁だから、人権上問題あるのではないか。
富田
- 性欲を刺激しない芸術的作品は処罰されない。
保坂
- 3号ポルノの幅が広い。ここに単純所持規制が入ると問題が多い。今の議論を聞いていてどう思うか。
枝野
- 今後は、18歳未満をモデルとしたものは芸術性の高くても規制するべきだと考えている。
- 過去に遡って芸術性があるというものまで今後出版をやめ、製造をやめるということはあっても、所持することに関しては規制しなくても良いと考える。
- これまで所持していたものも廃棄ということであれば、それは刑法の遡及ということであり、無理があると考える。
保坂
- もともとこの法律は、児童の人権保護にあったと思うのだが、その目的が肥大している。
葉梨
保坂
- 映画やテレビで殺人などは多く描かれているが、規制はされていない。
- 児童ポルノの単純所持規制がある国で、単純所持規制により被害が減ったという例はあるか。
大野(法務省)
- そのような例は把握していない。
保坂
- 捜査はどのようになるのか
大野
- 目的犯と呼ばれる犯罪の類型について、わいせつ物販売目的所持罪というのがあるが、どのようにして手に入れたのか、内容や量、どういう形で所持しているのか、所持したものの中で利用、処分したものがあるかということで判断している。
保坂
- 単純所持の場合どうか。自白以外ないのではないか。
大野
- 自己の性的好奇心を満たす目的であっても、入手したいきさつ、所持した内容、量、所持の形(ひとつだけか、大量か)ということから判断する。
葉梨
- 自白だけで立証するということはないだろう。何回もファイルを開いているとか言うことから判断する。
保坂
- 外部的に表出した事柄からしか判断できないということを確認して質問を終了する。
参考人質問
前田参考人意見(首都大学東京)
- 児童ポルノ法策定時と異なり、ネットにより法益侵害が大きくなりつつある。
- 刑罰の範囲はなるべく狭いほうがいいというのが基本。
- ネットによりグローバルになっている。
- 外国と比して恥ずかしくない立法を
- 日本の特殊性、国によって文化が大きく違う。
- 児童ポルノは、大人のポルノの代替として一部広がった経緯がある。
- 児童ポルノは、従来のわいせつ物陳列罪の延長ではなく、人権侵害、強姦同様の犯罪であるとの認識。
- 漫画などが児童への人権侵害が減らしているという議論は滅茶苦茶であり、証拠がない。
- 児童ポルノの定義、一番多いのは幼児の裸。ごく一部だけを隠しただけで抜けようとしているものがある。
- 殊更に露出させとか何とかいうことになると、性器が写っていないものが落ちる可能性がある。
- 民主党案に非常に優れた点は盗撮を盛り込んだこと。
- 性器に特化するのは良くない。
- ぼやかしさえすればよいということにならないか。被害の実態は変わらない。
- 民主党案は優れているが、児童ポルノの定義の変更を伴うのなら、後退になると考える。
- 処罰規定は重要。
- みだりに、という文言は確かに不明瞭であるが、他の法律から言うと必ずしも不明確とはいえない。
- 自民党案の縛りも、ある程度必要だろうが、絞りすぎである。
- 民主党案は運用が難しい。
- 今でも児童ポルノの取り締まりはハードルが高い。
- いろんなサイトから一回ずつというのは反復ではないとなるのは良くない。
一場(弁護士)意見
- 児童ポルノの定義があいまいであると思う。
- 1号、2号は明確である。3号規定は裸の赤ちゃんも、プールの水着の子供も入る。
- 何が性的好奇心を刺激するかは分からない。
- このような定義のままで単純所持を処罰するのは処罰範囲が広がりすぎる。
- 児童ポルノの定義は、児童の権利に関する条約に書かれている。
- 条約では児童のあからさまな性的な行為のあらゆる表現、主として性的な目的のための性的な部位のあらゆる表現と定義されている。
- 米国の児童ポルノの定義では、描写に一定の特徴、最低限児童の恥部のみだらな表示が含まれていないといけない。
- 違法か否かの定義は、法文で明確でなければならない。
- 与党案は不明確な定義に基づく罰則規定であり、問題が多い。
- 被害児童の保護に関して。
- 現行法では、主として福祉による保護と考えられている。
- 民主党案では保護の責任、主体が明確にされているが、福祉分野に限定されており、少なすぎる。
- 刑事、司法の面で配慮が必要。
- 子供は、大人による誘導などが発生しやすい。心理学の専門家が必要。
- また繰り返し被害の話をすることで心理的な負荷が大きく、自殺した少女もいる。
- アニメなどの問題はこの法律とは別の法律で扱うべき。
アグネス(日本ユニセフ協会)意見
- 現場の話を中心に話す。
- 1998年に日本ユニセフ協会大使になった日の夜、スウェーデン大使館に呼ばれ、「日本は児童ポルノのNo1の輸出大国である、No1の加害国である」と言われてショックだった。
- タイの児童買春の実態を見た。
- カンボジア、フィリピン、モルドバ共和国で児童買春の現場を回った。そこで児童ポルノを規制してくれといわれた。
- 児童買春禁止法などの整備がされ、一定の成果、コンビニから児童ポルノは消えたが、それでも足りないと言われる。
- サイバースペースでひろがり、むしろ悪化している。
- G8の中で単純所持を禁止していないのは日本とロシアだけ。
- 自分はいろんなところで単純所持を禁止していないことを非難されている。
- 児童ポルノ制作の現場、被害者の意見、加害者の話も聞いてほしい。
- 東南アジアで人身売買され、売春させられた子供の話。当時日本人には14歳と言えと言われていたらしい。実際には9歳の子供もいた。
- 4,5歳の子供も売買されている。
- そういう子供たちが売買春の中で写真をとられる。
- 日本人の話。入浴の写真を盗撮され、そのショックでリストカットするようになった少女の話。警察では埒が明かなかった。
- 母の再婚相手に性的虐待され、そのときの写真がインターネットに残っていた被害者の話。
- 児童ポルノの写真は被害者を傷つける凶器だ。
- 加害者の開き直りのコメントを紹介。許せない。
- 日本の法改正は外国から注目されてます。
- 単純所持を禁止するべきだ。
- 外国の政府関係者から褒めてもらえるようにお願いします。
田島(上智大学)意見
- 表現の自由の立場から。
- 与党案、民主党案、与党案が提示している法案に問題がある。
- 子供たちの人権の保護、表現の自由との適切な調整を欠かしてはならない。
- 与党案の単純所持財の新設、将来の新設の可能性として創作物規制の調査、研究規定の導入が問題と考えている。
- 与党案は表現の自由の観点から、やや過剰な規制である。
- 現在の児童ポルノ法(買春も含む)の枠組み自体に問題がある。
- 諸外国の規定よりも過剰に傾いている。必ずしも児童の保護と表現の自由のバランスが適切に確保されているとは言えない。
- 保護対象の18歳未満というくくり方が妥当かどうか。
- 児童ポルノの定義の問題。2条3項3号規定。性欲を興奮させ、刺激するものという規定。には、本来のイメージする児童ポルノとは違うものが含まれている。対象が広い。
- 客観的な用件とは言えない、主観的用件が含まれている。
- 単純なヌード表現(ソフトポルノ)も規制の対象にされている。
- アメリカでは露骨な性的描写を含むわいせつであるもの、性器間を含むSM行為、交配行為、芸術的、科学的価値が無いものなど、いくつもの制限規定を設けている。
- 欧米も同様。
- 少なくとも欧米ではポルノ的行為、わいせつ的なもの、性的なものに限るとされており、芸術などの例外も許容されている。ソフトヌードのようなものまでは過度に規制されていない。
- 欧米では単純所持規制、創作規制は表現の自由への配慮の元で限定的な枠組みのもとで行われている。
- 日本ではこうした前提を欠いているにもかかわらず、創作物規制をかけるのは問題。
- 恣意的で政治的な捜査機関による乱用などが懸念される。
- 運用上の注意規定、乱用される事態は、運用の注意規定だけでは足りない。
- 問題をはらんでいる現行法をそのままにして単純所持規制をかけるのではなく、定義規定も欧米の基準に合わせて、枠組みを限定する必要がある。その上で、さらに求められる事柄があれば、それを慎重に検討していくことが必要。
- 大きな方向性として、基本的には民主党案の方向性での改定が妥当。
参考人質疑
質問者:葉梨(自民党)
葉梨
- 欧米の現実的なもので児童ポルノが残されている国の具体的な例
田島
- その前提の定義が限定的である。
葉梨
- 芸術的なものを除いているという国はどこか。
田島
葉梨
一場
- 明確になる。
- 民主党案は性器だけではなく、等とある。
葉梨
- 渡井は法律の専門家である。性器等、というのは、性器、乳首、肛門だけであり、その周辺は含まない。
- (画像を出して)この画像は、民主党案はものすごくあいまいである。議事録にぜひ目を通していただきたい。
- 法律家の考え方として、こういう盗撮の画像はどうか。
一場
葉梨
- ということは、盗撮規定は無意味であると思うがどうか。
前田
- その通りだと思う。
- 盗撮規定に対し、性器の写っているの有無は問題ではない。
葉梨
アグネス
- 問題になると思う。
- 自分の姿を自分の意思に反して撮られるというのはあってはいけない。
葉梨
- 今の民主党案ではポルノ所持を外で言うのはかまわない、相続で受け取るのもかまわない、友人と一緒に見るのもよくて、その友人からお金をとってもいいということである。これでよいのか。
一場
- 法律を作るときは何が有効か、一般の人にもわかるようにする必要がある。
- 処罰をしたいという事情は分かるが、明確でないということは改める必要がある。
葉梨
- 冤罪が起こったという例を聞いたことがあるか。
アグネス
- 外国では日本の法律が甘いということを良く聞く。
- 今の段階ではFBIの人が言うには、道具はあるが、法律が甘いので捜査の協力が出来ない。
- 被害児童の写真が毎日インターネットなどで見られることについて傷ついている現状を何とかすべき。
葉梨
- (SMの絵を出して)これは民主党案では該当するか
- あらゆる性的な部位となるとこれもあいまいである。
- どっちもどっちだと思うがどうか。
前田
- 定義はものすごく苦労して作った。その絵は民主党案では入らない。
- 議定書のものでも駄目だと思う。
葉梨
- 議定書の訳文の通りに定義を書けばあいまいにならないというのか。
前田
- そうではない。3号で問題がどんな問題が起こっているか、一度も出たことがない。3号規定でも範囲が狭すぎるといっているのに、それをまた狭めるのはおかしい。
葉梨
- 与党案と民主党案とどっちがいいと思うか。
アグネス
- 与党案に賛成したい。
質問者:小宮山(民主党)
- 互いの案の欠点をあげつらうだけではなく、建設的な議論をしたい。
- 定義を明確化することは悪いことではない。警察も取締しやすい。
- 単純所持では、リオデジャネイロでも「意図的な」という文言がある。
- この点だけは必ず入れてほしいという意見を伺いたい。
前田
- 今の苦労してやってきたことの積み上げてやってほしい。
- 定義が不明確であるという指摘はこれまでない。
- 処罰することの前に、違法であるとの宣言を入れてほしい。
一場
- 定義の明確化は必要である。
- 性器に限定しない形の何か絞り込む要素が必要である。
- 与党案に反対するのは、児童の普通の水着写真ですら入ってしまう。そこに性的刺激があるかどうかは分からない。
アグネス
- 児童ポルノの単純所持の禁止を。
- もっていて楽しむのもいけないという文言。
田島
- 子供の人権の保護をきちんと念頭において作業するのが大事である。
- 人々の価値観の領域にも入ってしまうようになるのは良くない。
- 現行法の枠組みがどこまでいいのか悪いのか議論が必要。
小宮山
- 民主党案でも単純所持は禁止している。
- 摘発例が少ないのは、定義が主観的で不明確だから。
- アグネスも解説をしていたとき、各国の定義はばらばらであると言っていた。
- 国際的な基準にするということと、日本の中で納得がいく形にすること。
- 冤罪防止を図るのも立法者の責任であるので、そのバランスをとる必要がある。
- 単純な所持に付いては民主党案の法が罰則は強い。
- また、被害を受けた児童のケアは日本では遅れている。
一場
- 刑事手続きの中で警察の中で子供たちへの配慮がされていない。
- これからはぜひ具体的に取り入れてほしい。
- 最初の取り調べでビデオをとるというのは繰り返し話す必要が無くなり、有効である。
小宮山
- 現行法をそのままにするので掃く、底を精査することから始めるべきという話に付いて詳しく。
田島
- 定義、特に3号ポルノの部分について、両案でも議論してほしい。
質問者:富田(公明党)
- この20年で児童ポルノの事件数は676件、逮捕者412名、被害児童388名。急増している。
- 何とか本国会で成立させたい。
- 所持罪について、今でもハードルが高い。民主党案の条件をつけると余計に困難になるのではないか。
前田
- 検挙数は増えているが十分とは思わない。
- 今より狭めるのはどうか。
- 現在、恣意的捜査や冤罪などは起きていない。
- 目的規制は難しい。
- 与党案でも十分合理性があると思う。
富田
- 単純所持の捜査乱用は、裁判所の礼状発行などで防止できる。
- 乱用のおそれは何らかの形でおさめていくべきだと考える。
一場
- 他国との単純比較をしないでほしい。
- 3号に付いては、あらゆる子供の裸が入るので変えるべき。
- 民主党案は故意のものと誤って取得したものとを分けるための規定であると理解している。
田島
- 今の規定のままだと、膨大な過去の出版物などまで含まれてしまうことに対する配慮が必要。
富田
- 現状のものは猶予期間を設ける。
- 児童ポルノの被害者がどういう思いを持っているのか、盛り込むことが必要だと考える。
アグネス
- 被害者にとっては、今までとられたものはすべて消してほしい。
- 民主党案が通れば、今のうちもっておけという呼びかけが行われている。
- 被害者にとってはそれも傷つく。
- 加害者側も犯罪者にはなりたくないと考えている。単純所持を禁止すればなくなるだろうと思う。
質問者:保坂(社民党)
保坂
前田
- 一般論として、共謀罪は有力なツールであると考えている。
保坂
- 私は最新のデータを持っていないのだが、2004年イタリアの児童保護団体の調査で、児童ポルノサイトの数1位はアメリカで15003件、2位が韓国で1353件、3位がロシアで1232件で日本はブラジル、イタリア、スペイン、チェコに続き8位、165件と。
- 先の報道で日本は児童ポルノの発信国だという言い方があったが、新しい数字、こういった傾向が大幅に変わったのか。
前田
- 統計資料はない。
- 印象では日本のサイトの数が世界で多いという、発信源として日本が多いという話は良く出てくる。
- 数字は全く持っていない。
保坂
一場
- 発信するのは今でも処罰される。持っているだけで処罰されるというのはいきすぎ。
保坂
- 10代のグラビアに出ている人など、周りにいると思うが、それらが規制されることはどう考えるか。
アグネス
- グラビアアイドルは大勢いるが、18歳以下は健康的に子供時代を過ごしてもらう。18歳まで待てばいいではないか。
- 大人は、子供の裸を見なければ命が縮むわけではない。18歳以下のグラビアも無くていいではないか。
保坂
- 過去に出版された写真集や雑誌のバックナンバーなどを1年以内に焼き捨てろ(捨てると提供罪)という、日本という過剰同調社会において、本来の保護法益とは違う方向に走り出していく懸念。思想統制はエログロナンセンスから拡張される。
田島
- それこそ私の危惧するところである。
保坂
以上。
児童ポルノ法改正の法務委員会の質疑概要(1)
http://workingnews.blog117.fc2.com/blog-entry-2066.html
とか
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/3a86721522f5bb022dc66b0d44fee993
で話題になっているので見てみました。
http://www.shugiintv.go.jp/jp/video_lib3.php?deli_id=39900
案件(議題順):
児童買春、児童ポルノ行為等処罰及び児童保護等法改正法案(169国会衆32)
児童買春、児童ポルノ行為等処罰及び児童保護等法改正法案(171国会衆12)
開会〜休憩1まで
より。
発言内容を要約しているので細かいことは自分で配信された映像を見るか、国会議事録(ってどこから入手するんだろう?)を見てください。
なお、敬称は略しています。
森山眞弓(自民党)与党案の趣旨について
質疑応答 質問者:牧原(自民党)
牧原
- 平成11年、16年に続く改正の理由について。
- どちらもこれまでの保護法案では足りないという解釈でよいか。
西村(民主)
- 児童ポルノは児童に対する虐待以外の何者でもない。
- 児童ポルノの定義規定が抽象的であいまいで主観的。捜査権力が不当でないものまで取り締まってはならない。また、あいまいさのために捜査当局の腰が引けるということがあってもならない。
- 単純所持についても、不当逮捕の可能性が残る。
- あいまいな規定のため、捜査機関の不当な捜査のおそれがある一方、それを避けようとすると捜査機関の運用を妨げることになる。
葉梨(自民党)
- 日本は児童ポルノに対して甘いという国際的な非難がある。
- 厳格な運用がなされる配慮はしてきた。
- 単純所持は過去2回、法に盛り込まれなかった。
- インターネットに残っている児童ポルノのために、被害児童は一生恐れながら生きていくことになる。
- 民主党案は児童ポルノの範囲が狭すぎる。
- 操作に不信があるからといって定義を狭めるのは反対。
牧原(自民党)
- 単純所持について、国民意識の高揚や運用の積み重ねが、具体的に今回、どう変わったのか。国際的動向も含め。
葉梨
- 国際的な動向はどんどん進んでいる。
- 国内的なコンセンサスも広げていかなければいけないという段階にある。
- G8でロシアと日本だけが単純所持を禁止していない。
- 提供は禁止されているが、何10万回も国際的に児童ポルノがダウンロードされ、それが日本発である。
牧原
- よくわかりました。
- 与党案のほうが規制が幅広いというか、厳しいということだろう。
- 民主党案で具体的に規制できないものは何か。
葉梨
- 与党案は一般的な所持(反復不要)、性的好奇心を満たす目的の二段構えである。
- 単純所持を禁止しているが、基本的にはペドファイルとの戦いである。
- 民主党案では、児童ポルノを持つことが悪いことであるという宣言がない。宣言がないということは良いことであるという話だ。
- 有償で反復取得という行為を禁止するだけであれば、持ち続けていても構わない。
- 自分の持っているビデオを他人に見せてお金を取るということを民主党案では規制できないだろう。
- 民主党案では大量の児童ポルノの相続は禁止できない。
牧原
枝野(民主党)
- 趣旨説明でも行ったとおり、悪質な児童ポルノの所持は悪であるとの認識がある。
- 所持という構成要件は、どういう手法で入手したのかが問われない。
- メールに添付されていた場合でも、ゴミ箱を空にしても復元が可能であり、技術的に消去が出来ない。
- 自民党案では自白の有無に行かざるを得ない。
- 足利事件のように、やっていないことを自白してしまうという捜査手法が行われているのがわが国の状況である。
- 捜査手法が国際標準になってからこちらを国際標準にすべきである。
- 自白に頼らない方法をとるには、入手のプロセスについての立証にならざるを得ない。
- 冤罪のリスクは民主党案が少ない。
牧原
- 捜査の恣意性について与党案はどう考えているか。
葉梨
- 犯行について、やった、やっていないという行為の自白と、殺すつもりだったかどうかという内心の意思についての自白とは違う。足利事件を引き合いに出されるのはレベルが違う。
- そもそも持っていなければ所持にならないのだから。
- そのメールが児童ポルノかもしれないという認識は必要だろう。(メールを開く前から分かるべきだ)
- 殺すつもりが無かったといいつつ、拳銃で撃ったのと同じことで、大量の児童ポルノと、その横に大人のポルノがあるだけで、自白しなくても故意だと立証できる。それは客観的な捜査である。
牧原
- 法律名と定義について、民主党案の変更について、性欲を刺激するという項目を削除することについてどう児童性行為など姿態物と変更されるべきではないと考える理由。
葉梨
- 児童ポルノという用語が良い用語かというと個人的には必ずしもそうは思わない。しかし、わいせつな画像とか卑猥な画像とか言う言葉は使えない。
- 日本が国際的なペドファイルとの戦いの戦列に参加するという意思表明のために、国際的に使用されている「チャイルド・ポルノグラフィ」を使用した。
- 家庭内の成長の記録などは除かなければならない。
- その考え方を今変更する必然性はないと考える。
牧原
質問者:葉梨
- 民主党の定義では「露出」は見えること、「強調」は特に目立つように表現することという意味だと思うが、それでよいか。
枝野
- その通り。
葉梨
- 「ことさらに」という言葉の意味が日本語と違う。わざわざという意味だろうけど。性器などの露出や強調が無ければ対象にならないということか。
枝野
- 性器の部分だけが写っているとか言うわけではく、全体の状況として、必然性無く、例えば裸でいるということ。
葉梨
- 「性器等」とは、性器、肛門、乳首という解釈でよいか。
枝野
- その通り。
葉梨
- では、それらが写っていなければ、規制対象ではないということか。
枝野
- 「強調」という言葉をいれた理由は、着エロも含むためである。例えば乳首にだけシールを貼っただけなどというのは、逆にそれにより強調していると解釈できる。
葉梨
- では後ろ姿は入らないね。
枝野
- 個別の状況により、臀部が殊更に、必然性の無い形で強調されていれば規制対象である。
葉梨
- パンツ履いてればどうだ。
枝野
- パンツの種類にもよる。着エロでは普通着用しないようなものを使っている。履いていればいいというわけではない。
葉梨
- 上半身裸、下スカートは?
枝野
- 上半身裸、下スカートで後ろ姿だと規制対象に入らないが、着エロのようにただ履いていればそれでいいというわけではない。殊更に強調というのは、そういう抜け道を塞ぐためのものである。
葉梨
- どうとでも解釈できるってことじゃないですか。
枝野
- 現行法の抜け道として、幅2cmとかの水着を付けて、隠しているから法に抵触しませんよ言う状況がある。スカートや後ろ姿でも、いろんなスカートがある。撮影の角度などで強調しようとするものがありうるだろう。そういった可能性を考慮して悪質なものは「全体の映像として、殊更に強調している」としている。
葉梨
- よくわからなんですけど、お尻が見えていたら強調だという話だと。
手書きの絵を出してくる。ぶつぶつ何か言っているが聞き取れない。
枝野
- 今の漫画は、いわゆる盗撮的なものであろうと思われるので、民主党案の規制対象になる。
- まさに着替えているとか言う状況であれば、客観的に「強調する」ためのものであるといえる。
※葉梨の定義では盗撮はポルノにならないらしい。
葉梨はその後も手書きの下手な絵を見せて細かい条件を出し、枝野議員の説明に対し、「私は頭が悪いので分かりません」などと言う。あまり意味のある議論とは思えないので割愛。以後、葉梨の曲解と難癖が続きます。
葉梨
- 結局どこかに抜け道はあるんでしょ?
枝野
- 現在の規制では、ジャニーズのステージも同世代少女の性的好奇心を刺激するが、規制されることになる。
葉梨
- じゃあ、男の子の上半身裸は規制対象になる?
枝野
- だから民主党案では通常ありえない状況に対し、「殊更に強調」という文言を入れている。
葉梨
- 上半身裸ならみんな規制対象なのね。
枝野
- 「映像として」と言っている。ステージで上半身裸になるような行為そのものを指しているわけではない。
葉梨
- それじゃ、すべて男の子のものは当たらないということだね。
枝野
- 男の子への性的虐待も存在するのだから、すべてということはない。
葉梨
- ジャニーズは良くて、普通の男の子なら入らないということか。
枝野
- 映像として殊更に、と言っている。ジャニーズであっても殊更に乳首を強調するなどの映像があれば規制対象になるし、海辺で男の子が上半身裸というのは入らない。
葉梨
- 捜査の恣意的な捜査は自分も懸念している。
- 擬似児童ポルノ(漫画、アニメ)は一切入らないという理解でいいか。
枝野
- 児童保護公益という本法律の本来の目的からは、被害児童の保護が重要であり、本法律はそれを明確にすべきであると考える。
- 映像等が広く氾濫することによる弊害は別の法律で扱うべきだと考えている。
葉梨
- 自分は誰々の子供時代のポルノを持っていますよと広く宣伝することは民主党案では規制されないですね。
枝野
葉梨
枝野
- お言葉ですが、持っていて見せるからと言ってペドファイルだという推定がどうやって働くのか。
- まさにそのような推定に基づいて自白が強要されるという状況になることを危惧している。
- 有償で見せるだけの場合は与党案でも入らない。むしろ「自己の性的好奇心を満たす」という条件から、与党案ではむしろ規制から排除されるのではないか。
葉梨
- そんなことはないでしょ。一緒に楽しむようなことはあるんだから。
- たしかに営業なら他人の性的好奇心を満たすということになるから排除されるが、みだりに、と一般禁止規定しているから与党案では期待(記載?)をされる。
- ペドのお父さんが大量の児童ポルノを家宝としてペドの息子に相続する、これは民主党案では規制されないと思うがどうか。
枝野
- 小児性愛者であるかどうかは、内心の問題なので客観的には判断できないと思う。
- 誰かが持っていた大量の児童ポルノが結果的に〜(不明瞭)〜に渡ったとしてもそのこと自体を違法性があるものとすることは出来ない。
葉梨
質問者:丸谷(公明党)
丸谷
※性的虐待被害者の話を紹介。
- あらためて質問するが、何を変えるのか。
高田(公明党)
- 単純所持が禁止されていないのが被害を拡大させたと考えている。
- 単純所持に刑事罰を。
丸谷
枝野
- ネット社会では、本人の気づかないうちに単純所持させられてしまうと言うことは簡単に出来てしまう。
- 目的所持によるまた密室における捜査で自白を強制される。
- そのような中で、客観的な判断基準を定めることにした。
丸谷
- 従来の法律にも販売などといった目的条項はあるが、客観的に分かるし冤罪などはない。冤罪を心配して単純所持条項を入れないのは違うと思う。
高田
- 内心の問題は客観的に分かる。
丸谷
枝野
- 販売目的所持に付いては販売目的だと類推することが容易。しかし性的好奇心を満たす目的に付いては、それこそ、入手のプロセスを明らかにしないと客観的に立証することは不可能である。
- 反復に付いても、ネットでリンクをクリックしたら変な画像が飛び込んできた、と言うのは皆さん経験があると思います。単純所持だと、これも違法とされてしまう。
- そのクリックが、知らずにクリックしたのか、知っていてクリックしたのかは、クリックしたと言う客観的事実だけでは分からない。
丸谷
枝野
- 刑事罰を課するほどではないと考える。100冊の雑誌を買ったならともかく、インターネットでは一度に大量の画像が送られてくることはよくあることである。
丸谷
- 分かりません。
- 民主党案では、送ったほうは違法だが取得したほうは罪ではないと言うことですね。
枝野
- 議論がかみ合わない理由がだんだん分かってきました。
- 自分が見たいと思って所持に至った人なのか、それとも間違って所持に至った人なのかという区別は、それは客観的には、一義的にはすぐに分からないと言うことです。
- (与党案では)自白以外に証拠は無いではないか。
- 自白以外で分かるとすれば、お金を払ったか、同じようなことを繰り返して、ということで類推できる。
丸谷
- 私の理解が遅いのかもしれませんが、言っていることが分かりません。1回に100枚でも刑事罰には当たらないと言うことですね。
枝野
- より正確に言うと、一回の所持では、「刑事罰を課するのにあたるか、判断が不可能である。」ということです。
丸谷
- それでは児童ポルノの存在を肯定することになる。
- 警察権力の悪用を心配をするのなら、その悪用自体に真正面から取り組むべきだと思うがどうか。
枝野
- だから可視化法の審議を同時並行でやるべきだと、取り調べもグローバルスタンダードに合わせましょうという法案を出している。
- にもかかわらず、そちらの審議はやらないでこちらだけやる。少なくとも同時並行にやらなくてはならない。
丸谷
- この法案とその問題は別だと思います。
- 過去に所持したものに付いては、民主党案では破棄しなくても良いと言うことですね。
枝野
- 児童ポルノでとりあげられている、虐待に当たる典型的なものに付いては、過去に遡って廃棄と言うこともありうるかと思う。
- しかし、本法施行前には女性の乳首等が露出している、グラビアや映画、などSanta-feなどがあるが、それらをすべて違法、合法と仕分けて廃棄しろと言うのは無理があると思う。
- もしもそれが可能な法律構成が可能ならばそれを否定するものではないが、現実には不可能であろうと思う。
- これから流通していくものに付いては十分に抑えることが出来ると考える。
丸谷
西村(民主党)
- この名称変更は児童ポルノがなぜ悪質な犯罪なのかと言う根拠を明らかにするためのものであり、むしろ児童への権利侵害行為である児童ポルノの取り組みの必要性を強調するものである。
- 個別の児童の権利擁護だけではなく、全体としての風潮などを盛り込んだ趣旨で考えていこうと言う動きもあるが、民主党は、あくまでも実在の児童の保護のための政策を充実させていこうと考えている。
- 被害児童の保護の充実が最も重要である。
- 民主党の用語改正の提案は、国際用語の趣旨を正確に訳すために行ったものである。
丸谷
- 民主党の用語では今後国民にアンケートをとるときに国民が意味が分からなくなると思う。
- 私にとっては児童ポルノの定義を狭め、目くらましをされていると感じる。
- 国際スタンダートとかけ離れたものになると思うがどうか。
枝野
- まず、各国毎に児童ポルノの定義が違っている。
- アメリカはもしかすると民主党案の定義よりも狭い定義となっている。
- また、各国毎に刑事司法手続きが違っている。
- アメリカは捜査のかなり可視化が進んでいるし、あるいは弁護人立会の下で無ければ取り調べが出来ない。そういう州もある。
- 自白の強要の防止策が十分に出来ている国と、そうでない国と、刑罰法規において同じでなければならないと言うことはない。
- むしろそうであるならば、アメリカで取り入れられている捜査の可視化や弁護人立会の制度を一刻も早く日本にも入れて、そちらも同時に揃えてなければいけないと思う。
- 日本の単純所持規制が無いことがどれほど世界的な児童ポルノの蔓延に寄与しているのか。-むしろ単純所持が禁止されているアメリカにおいてむしろ多数の問題(製造、提供の元になっている)が生じている。
- 各国と連携し、現行法でも取締がしっかり行われていないところをしっかりやる、アメリカやロシアなど、取締がしっかりしていないところにしっかりやらせるといったことが、むしろ現実問題として児童ポルノの被害を防ぐことに役立つと考える。
質問者:枝野
枝野
- 故意の所持を立証するのに、自白以外にどんな用件があるか。
葉梨
- 世の中どんどん進んでいる。例えば何でも送りつけられるような穴が出来て、どこからともなく麻薬が送りつけられてくるようになったら、麻薬の単純所持を禁止してはいけないと言う話にはならない。
- クリックした事実はあるのだから、自白に頼らなくても証明は可能だと思う。
- 記録と合わせれば相当客観的な判断が出来ると思う。
- 目的犯はすべて自白が必要と言うのは暴論。提供目的なら分かる。
- 殺人と言う事実に付いて、殺意の有無は自白に頼らなくていもいい。
- 取得のためにメールを書くなど、故意にやったことはわかるでしょ。
枝野
- 麻薬のような物と情報は全く別のものであって、ドラえもんのどこでもドアなんて物理的にできないよ。
- 今の答弁によると、結局単純所持罪を作るのであれば、故意の立証には結局入手手段を明らかにしないといけないではないか。
- 与党案では自白の強要を防ぐ担保がない。
- 自白の強要を防ぐために入手方法の立証が必要なら、民主党案と変わらないではないか。
葉梨
- 必ず取得の可能性を立証しなければならないと言うのは違うだろう。
- ハードディスクにあるものを何度も開いて見ていれば、自己の性的好奇心を満たすと言うことになる。どこから入手したかは関係ない。
- たとえば、有体物としての児童ポルノ(雑誌)があれば、その入手経路が立証されないと自己の性的好奇心を満たすことが立証できないと言うことにはならない。家にたくさん児童ポルノ雑誌があってそれを開いてニヤニヤしていれば十分自己の性的好奇心を満たすことの立証になるでしょう。
枝野
- 与党案なら、一つでも持っていれば単純所持要件を満たすんですよ。それに自白がくっついてしまったら有罪になりますね。そのことだけ。
葉梨
- 課罰性ありますけど、民主党案なら、たくさんの児童ポルノ雑誌を持っていれば、処罰されないと言うことになる。そのことを踏まえて議論してくださいね。
- 合理的な自白は必要だと思いますよ。
- 自白は証拠の王者です。
枝野
- やってないのに合理的な自白を足利事件では取ってるでしょ。現実に。
- 一回しかとってなくたって一回は見てますよ。「なんだこれは」ってゴミ箱に捨てるんだから。
- 郵便であれ、メールであれ、誰かを陥れるために送りつけて逮捕させると言うことが出来るんですよ。
- 現行の児童ポルノの定義として、18歳未満であることの認識の必要性は現行法にあるのか。
森(法務大臣)
- 現行法では児童ポルノ提供には、18歳未満であることの認識が必要である。
枝野
- この故意も、未必の故意でいいんですよね。
森
- 18歳未満かもしれないと思っていれば、未必の故意は認められる。
枝野
- 本法施行のずっと前から、18歳未満かどうかは分からないが、その可能性のあるものがあると、それらは全部捨てろと言うことで与党案はいいんですね。
葉梨
- 捜査機関が信用ならないということは分かるが、だからと言って実体法の規制を緩めると言うことがあってはならない。
- 陥れると言うことであれば、拳銃や麻薬を使ったって同じだ。
- 大手だって間違いはある。
- 間違いがあれば、この1年間の猶予期間ですべて廃棄するのが当然。
- それが有名だろうと大手だろうと関係ない。
枝野
- 拳銃や麻薬を使って陥れるのはそう簡単ではない。入手そのものが困難だから。
- しかし映像一枚ならすぐであることを認識すべきだ。
- かつて合法的に販売されて所持されているものがたくさんある。それを全部捨ててくださいと言うのか。
- しかも未必の故意でいいんですか。
- 日本中の家で家捜しをして捨てなきゃいけないと言うのは現実的ではない。
葉梨
- 家捜ししろとは言っていない。
枝野
- 私の事務所にあるのは抗弁が出来るかもしれない。
- しかしすべての家で同じことが起こりうる。
- 仮に見つかったとしても、自己の性的好奇心を目的としないことを証明することは出来ない。
- 与党案は冤罪に対して大きな問題がある。
葉梨
- 冤罪はあってはならない。
- 陥れられることはないと私は思う。
- 雑誌がほこりをかぶっていれば自白は強要されないと私は信じている。
枝野
- 現に捜査機関の冤罪が繰り返されている。
- ちゃんと捜査してくれない場合においても冤罪が発生しないようにするのがわれわれの責任だ。
以後休憩
著作権分科会法制問題小委員会、shiraistさんとtsudaさんの実況まとめ
twitter上で誤字の修正があったものは修正してあります。
また、一部内容が重なり、分かりにくくなるかとは思いますが、タイムラインの修正はかけていません。以下、黒文字がshiraistさんで青文字がtsudaさんです。
- 17時から文化審議会著作権分科会法制問題小委員会を傍聴します。
- 審議会の会場に来た。分厚い資料がいっぱい配られた。
- 今日の議題は関係者へのヒアリング。米国法の学説で筑波大の村井麻衣子講師、凡例で神奈川大学の奥邨弘司准教授、訴訟制度・法文化で山本隆司弁護士。英連邦諸国法で同じく山本弁護士、大陸法で上智大学の駒田泰士准教授、その他の国で三菱UFJの渡辺真砂世研究員からヒアリングを行う。
- 審議会スタート。高塩文化庁次長より著作権法改正案可決の報告。「国会では国会図書館の電子化の議論が中心だった。-Googleに関わる質疑もあった。私的複製については、ユーザーを抑止するのではないかとの質問があった、が権利者と調整の上そうらないよう進めると答弁した。
- 事務局「ダウンロード違法化については、ユーザーに不利益がないよう、権利者と調整しながらやっていくということを国会でも報告させてもらった。質問もあまり国会では出ず、衆参とも全会一致で法案が通った」
- 高塩次長「権利制限の一般規程の導入については審議を行っている旨答弁した。」
最初は米国法の学説について、筑波大学大学院の村井麻衣子さんから。
- 米国の学説について、村井氏より説明「フェアユースに否定的な学説はないかと問われたが、歴史的経緯や調整機能を果たすものとして認識されており、否定的な学説は見あたらなかった。」
- 村井「著作権法の目的は文化の促進と学問の発展のために、著作権者に独占権による報酬を得る機会をあたえ、創作へのインセンティブを付与すること。フェアユースによって利用が正当化されるかどうかは使用の目的と性質、市場への影響を重視し人格権やプライバシーなどは考慮すべきでないとしている」
- 村井氏。Leval判事の学説を紹介。「変形的利用を重視し、使用目的要素と市場への影響の要素を重視している」Godonの市場の失敗理論を紹介。「三段階テストを提唱したが、後に厳しすぎたとしている。」
- 村井「Gordonのフェアユースの市場失敗理論とは、市場を通しては達成されないが社会的には望ましい取引を許容する。つまり、市場の失敗を治癒するための理論としてフェアユースを捉えている」
- 村井「Lorenは知識や学問の発展を抑圧しないためにフェアユースの果たす役割が重要になってきていると認識している」
- 村井氏。Lorenによる市場の失敗の再定義、Gordonによる理論の修正を紹介。「市場の機能不全だけでなく、言論の自由などが関わってくる。」理論的構造、実証的研究について紹介。「判例から、事実に基づくものであるばあいや、非商業目的である場合はフェアユースが認められやすい。」
- 村井「フェアユースに関する米国の判決は少ない。年間10.9件程度。そのうちフェアユースが認められたケースは4.5件。裁判所がフェアユースかどうかあらかじめ結論を導く誘導は行われていない。あとは原告作品が事実に基づくものや被告の利用が非商業的目的の場合フェアユースが認められやすい」
次に判例について神奈川大学准教授の奥邨弘司さん。
- 奥邨准教授より、配布資料(報告書)を基に判例を調査下結果を紹介。「フェアユースを論じる際には著作権侵害が前提。フェアユースはケースバイケースの判断で、4要素のすべてについて検討されるべき。」
- 奥邨「フェアユースには明確なルールがない。4つの要素があり、そのすべての要素がまとめて考慮されるべきとされている」
- 奥邨准教授の説明早すぎて、実況できない。
- 奥邨「第1要素は著作物の利用が transformative変容力があるか。ニュース報道や解説、批評、教育などと関係する。第2要素は著作権が意図する保護の確信により近いものはフェアユースの立証が難しいということ。第3要素は許されるべき複製の程度が利用の目的と性格で変わるということ」
- 奥邨「引用については米国著作権法に引用の規定が存在しないので、フェアユースで争われることが多い」
- 奥邨「利用形態としては、パロディと引用が多い。パロディはフェアユースと認められやすい。」
次は山本隆司弁護士。米国訴訟制度と法文化。
- 山本弁護士より法文化の説明。「アメリカとイギリスは法文化が違う。米国法の法文化。アメリカの裁判所は法解釈だけでなく法を作るところ。フェアユースをどう利用して法を作っていくか、裁判所への期待が大きい。米国の特殊性だ」
- 山本「米国の裁判所は、法を解釈するだけでなく、法を作るところという位置づけ。日本とは違うのでフェアユースを導入する場合十分な検討を行う必要がある。米国は弁護士費用が高い。1000万円の損害賠償でも弁護士費用が1億円を超えると言うことはざら。巨額な裁判費用でも裁判する文化がある」
- 山本「訴訟開示の資料が膨大になり、そのための処理が膨大になるので、訴訟費用(弁護士費用)が膨大になる。それをよしとする文化がある。米国は法曹人口も多い。英国でもそれほど多くないが、それで英米で違いがあるのなら、日本はもっと法文化が違う」
- 山本「法曹人口の違いも大きい。人口10万人あたりの法曹人口だが、米国は356人、日本は19人。英国は215人、ドイツは178人、フランスは73人。日本のこの法曹人口でフェアユースのような裁判制度運用が行えるのかどうか、ここは問題になるだろう」
- 山本「フェアユースの法理が成立してから、140年は大きな裁判は無かった。ソニー事件などが出てから重要になった。日本で導入するなら判例をベースにしないと無駄になるのではないか」
質疑応答。
- 村上「フェアユースの裁判例少ないということだが、和解で終わっているものも多いんじゃないか。それはどれくらいの件数があって、どれくらいの比重があるのか」
- 質疑。村上委員「村井氏に質問。フェアユースで訴訟の前の和解で終わっている事例があると思うが、どのくらいの件数か。
- 奥邨氏に質問。米国でフェアユースで認められて、日本の現行法では認められない事例で明白な例があるか。」
- 村上「米国でフェアユースがあって争われたもので米国では認められるケースが、日本で現行法前提になったときに明確に違法になってしまう。そういうわかりやすい事例はあるのか」
- 山本「具体的な和解率はわからないが、ディスカバリーの結果、お互いの証拠が全部明らかにされるのでその時点で和解になることが多い。ただ、フェアユースの場合はディスカバリーの時点で和解にいたるのは少ないのではないか」
- 村井氏「和解の件数はわかりかねる。和解でかなり解決していると推測される。」
- 山本弁護士の補足「一般的に言えば、膨大な訴訟資料を開示した段階で和解するケースもあるだろう。予想としては、件数はそれほど多くないのではないか。」
- 奥邨「パロディは、米国では比較的認められるが、日本では厳しい。人格権の問題もあるので一概には言えない。検索エンジン関連はこれまでは日本では認められなかった。」
- 奥邨「パロディ関連の事例は米国では認められるケースが多いが、日本ではほとんど認められない。あとは検索エンジンなどは日本では難しい。逆に米国には引用がない。日本では引用で処理できるものが米国ではフェアユースで複雑に処理しなきゃいけないというケースもあるだろう」
- 村上「Googleのブック検索も最初はフェアユースで争ったが、和解ではフェアユースのところは触れない形になったが?」
- 山本「私が関与した事件でも、裁判所が強引に和解のテーブルに付かせてということは日本と同じようにある」
- 村上委員「山本弁護士に質問。Googleも和解しているが、フェアユースについては勝ち負けは決めていないが、有償で決着をつけた。このような和解は多いのか?」山本「日本同様、裁判所が和解勧告をするので、そのようなケースは多いと思う。」
- 道垣内委員「スリーステップテストを意識した議論というのはあるのか?」
- 山本「ベルヌ条約加入時問題になったのはフェアユースよりも、人格権がないというところだった。むしろ今それが議論になっている」
- 道垣内委員「フェアユース導入時にはベルヌ条約に加盟していなかった。加盟するときにどのような議論があったか」
- 山本「ベルヌ条約加盟時は人格権が問題になって、フェアユースは問題にはならなかった」
- 駒田氏から補足「ヨーロッパでも、アメリカ型のフェアユースはベルヌ条約の範囲内と解釈する人が多い」
- 多賀谷委員「報告書に違和感がある。フェアユースを認めるのは公共の利益が背景があるが、変形的利用の時にフェアユースが認められるとなるなら、元々の著作権者と利用者の関係がどうなるのかわからない」
- 奥邨「フェアユースが認められたからといって、それが利用者の権利として認められるわけではないと思う。変形的利用は二次的著作物なので、それに対する保護は別途与えられるだろう」
- 多賀谷委員「報告書に違和感がある。元の権利者と、フェアユースでTranmsformして利用した人の作ったモノに権利が認められるのかどうか、その辺の説明が欲しい。」
- 奥邨「Transformで利用した場合に必ずしも権利が発生するわけではない。二次著作物になるかの議論」
- 駒田「多賀谷委員の指摘した議論はむしろ欧州で議論になっている。権利者が技術で著作物をガードしているときに、利用者がそれを利用したいと思ったときに一定の枠組みでそのガードを外せる規定がドイツやフランスで実定法として取り入れられつつある」
次は英国の法制度。山本さんから。
- 次に英連邦諸国法について山本弁護士より説明「私は英国の専門ではないので、今回の報告書のために調べた。英国は個別規程をおいている。その中にフェアを要件にした規程がある。研究・知的学習、批判・評論、時事報道、授業の4項目が該当する」
- 山本「英国は日本と同じように細かく制限規定をたくさん設けている国。一般的な権利制限規定はない。そのため米国型フェアユースを導入しようかという話は出ているが導入するという結論にはなっていない。そのかわりフェア・ディーリングという規定があり私的学習、研究、批判、報道、授業などはOK」
- 山本「英国でも米国型のフェアユースを導入すべきとの議論がなされているが、まだ導入されていない。フェアユース否定論の根拠3点。1.英国では判例法理としてフェアディーリングの適用が拡大していない、裁判官の問題。2.法文化が違う。3.導入した先の見通しが立たない。」
- 山本「フェアユース反対された理由はフェアユースが入っても、裁判官が変わらなければ意味がない、ということ。あとは米国と法文化が違う。最後はフェアユースが入っても将来的にどういう見通しを示すのかはっきりしない、ということ」
- 山本「デジタル対応の報告書のなかでフェアユースを評価しているが、結論としては個別規程の充実になっている。」
- 山本「カナダではフェアディーリング規程は柔軟に運用されている。たとえば商業的研究は英国では認められないが、カナダでは認められている。パロディも同様な議論になっている。立法活動では、フェアユースの導入の提案は無かった。グレーゾーンが広がり、裁判になるので、利用者を萎縮するから」
- 山本「パロディについてはフェアディーリングで合法にできるんじゃないかという話が出ている。メディアシフト、タイムシフト、研究などは個別規定でやるべきという話になっている。フェアユースによりグレーゾーンが広がって裁判費用がかさむとむしろ利用側に萎縮効果があるのではという話もある」
- 山本「オーストラリア。2006年に法改正を行い、パロディなど個別規程を拡大した。フェアユースに対しては否定的。」
- 質疑。村上委員「英国では、これまで紹介していただいた米国の法文化は無いという風に受け取って良いのか」
- 山本「英国の一般的な法知識が無いので私には答えられない。かなり違うと思うが。裁判所で法を創造するという概念は米国特有ではないだろうか」
- 大渕委員の質問はうまくまとめられなかった。
次に欧州大陸法のフェアユースについて上智大学の駒田泰土准教授。
- 大陸法について駒田准教授より説明。「EU指令と仏独を中心に取り上げた。EU指令は権利制限について定めているが、過剰な権利制限をしないためのスリーステップテストを盛り込んでいる。」
- 駒田「仏独とも個別規程で、一般条項を含んでいない。限定列挙。フランスではスリーステップテストを規程している。仏法では権利保護が大前提なので、権利制限は厳格解釈。人格権重視。独では柔軟な解釈論の主張が出てきていて、主流になりつつある。」
- 駒田「独で、権利の保護と利用の調和を図る議論が台頭してきた。判例の積み重ねによってでてきた。技術の進展に対応する類推解釈も判例でなされてきている。EU指令にスリーステップテストが規程されているので、国内法に無くてもEU加盟国は拘束される。」
- 駒田「フランス及びドイツの制限規定の解釈態度はかなり厳格で、それが著作者人格を重視するアプローチを結びついてる。法律の構造としても両国は著作権の内容を一般規定として定立させ、反対に制限規定を個別に列挙してる。これは日本と同じで「保護」が原則で、それ以外は例外として認めている」
- 駒田「ただ、最近のドイツは硬直的な著作者中心主義から脱し、柔軟な解釈論を展開しようという議論も出てきている」
- 質疑。小泉委員「欧州法ではフェアユースの導入は認められないだろうと報告書に書かれているが、これが結論か」
- 駒田「難しいだろう」
- 道垣内委員の質問は聞き漏らした。村上委員の質問は趣旨がよくわからない。駒田氏も困っている。
- 大渕委員「欧州の議論の中で、個別規程では拾いきれないものとして念頭に置かれているのは新技術対応が中心なのか、そうではないのか。何を念頭においているのか教えて欲しい」
- 駒田「ドイツの議論では、何を念頭に置いてと言うより、法改正の手続きに時間がかかることが主な理由。」
次にその他の国について渡辺研究員より。「米国型フェアユース規程、英国型フェアリーディング規程をベースに類型化を行った。」
- 渡辺「米国型を導入済みはイスラエル・台湾・フィリピン。米国型+スリーステップテスト導入済みに韓国(審議中)、米国型+英国型がシンガポール、英国型+スリーステップテストがオーストラリア、英国型がカナダ。」
- 国別に説明しているけど、まとめるのが追いつかないので勘弁。